はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【宮部みゆき 名もなき毒 あらすじ】
杉村三郎が働く今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田(げんだ)いずみは、とんでもないトラブルメーカーだった。
三郎は、まもなく解雇された彼女の連絡窓口となるのだが
そのすさまじいクレーマーぶりに加え、経歴詐称にも振り回される。
そんな中、街では無差別と思われる連続毒殺事件が注目を集めていた。
三郎とは無関係だと思われていたその事件は、思わぬ形で関わりを見せていき・・・
杉村三郎シリーズ第二弾。
【ネタバレなし 感想と考察】
〇原田(げんだ)いずみという存在
まず、私は本書のタイトルがとても好きです。
思わせぶりなようで容赦のないこのタイトルには、もう何度も何度も読んで経過も結末もわかっている今でも強く惹かれるんですね。
そして原田(げんだ)いずみという登場人物。
彼女の言動はすべてこちらからしたら常軌を逸したもので、
この世の中でそんな言い分が通用するわけないだろう
とほとんどの人が思うだろうことなんです。
ですが彼女にはそんな理屈は通用しません。
あまりにも話が通じないので
まるで違う物事について話をしているような
まったく別のものを見ているかのような
そんな感覚に陥ってしまうので、これがものすごく怖い存在なんです。
こちらの想像・常識を超え、なりふりかまわず力を行使してくるものには抗いようがない。
これは決して物語の中だけの話ではなく、もっともっと身近に存在しうる悪意でもあると感じてしまうんですね。
世の中にはいろんな人がいて、
なんでこの人はこうなんだ
とか
それ本気で言ってるんですか。汗
とか
考えても考えてもわからない、理解できないような人もいます。
もちろん人は表面を見るだけではわからないこともあるし、それぞれに背景や背負っているものも違うので一概には言えませんが
あぁこの人はこういう人なんだな
と、それだけで片付けられないような距離、立ち位置にそんな人がいたとしたら・・・
どうしたらいいんだろう。
そう考えると怖くて絶望します。汗
でも、そんなだけの世界じゃないということを、三郎やその周りの人たちが教えてくれているような
そんな気持ちにもなるので、これは救いです。
〇親の立場で考えたこと
本書には、原田(げんだ)いずみの父親も登場します。
ここでは私は、親としての目線で考えずにはいられませんでした。
もし自分の子供がこんなことをしでかしてしまったら
誰に何を言われても、自分の責任だと感じるだろうなと。
自分の育て方が間違っていたのではないか
自分の向き合い方が悪ったのではないか
自分の言動がこの子の人格を歪めてしまったのではないか
その想像はとどまることを知らず、果てしなくて
ちょっと気分転換が必要でした。笑
〇杉村三郎と、宮部みゆきさんが書く世界
前作『誰か』でもそうでしたが、今回も杉村三郎の人柄はとても沁みます。
穏やかで、人の気持ちを思いやることができる一方で
厳しい面も持ち合わせている三郎。
この存在にはやはりとても癒されます。
そして、私が心惹かれるこのタイトルですが
「原田(げんだ)いずみの件」と「連続毒殺事件」
このふたつが交差し、最後にその意味がわかる時、
その重みと底知れない恐怖が沸き起こります。
ですが
これは前作でも感じたことですが、宮部みゆきさんの書く文章は、優しく諭すようで温かい。
杉村三郎シリーズは特に、年長者にやさしく語りかけられているような気持ちになるんですね。
その世界観と三郎の存在に、やはり救われるんです。
【個人的 五つ星評価】
恐怖の中に救いを感じる度 ★★★★★
杉村三郎の魅力度 MAX
タイトルに惹かれる度 MAX
価格:1,012円 |
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