ネタバレなし 宮部みゆき 昨日がなければ明日もない(杉村三郎シリーズ)

宮部みゆき

はじめまして、かがやくさくらです。

このブログでは

すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、

あらすじはできるだけ最小限に、

感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。

完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪

スポンサーリンク

【宮部みゆき 昨日がなければ明日もない 概要】

主婦が自殺未遂の挙句行方不明になった。

その裏には、なんとも悲惨な事件があったのだが・・・(「絶対零度」

町内の主婦に頼まれ、とある結婚披露宴に出席することになった杉村

だがはそこで思わぬ事態に遭遇する。(「華燭」

「子供の命がかかっている」と、杉村の元を訪れた女性。

彼女の抱えている問題とは。(表題作

依頼人はすべて女性である中編3編が収録された、杉村三郎シリーズ第五弾。

【ネタバレなし 感想と考察】

〇探偵VSちょっと困った女たち

本書の裏表紙には、こう記載されています。

ということで気軽に読んでいたのですが・・・

いやいや、これは「ちょっと困った」どころではないです。汗

本書でも、宮部みゆきさんどうしようもない悪意・どうしようもない人間を容赦なく書いてきます。

もちろん、そんな人たちにも人生があり事情があることはわかるんだけど

こちらから見るとそんなことはもはやどうでもいいと思えるほどに、容赦ない悪意・自分本位な人間に腹立たしさを超え絶望すら感じるんですね。

しんどい。

でも、読むことは止められない。

やっぱりすごいです。

〇杉村三郎という探偵。

杉村三郎シリーズ第五弾であり、私立探偵杉村としては第二弾となる本書。

前述の通り、どうしようもない悪意や目を覆いたくなる展開も待っている本書ですが

それでもただそれだけでは終わらないのは、杉村三郎がいるからだと思います。

杉村の優しさ。その中にある厳しさ。

だからこそ紡がれていく周りの人々とのやり取り。

そこには温かさが溢れています。

また、新しい生活と環境に自分らしく馴染んでいく杉村の姿が見られるので、妙な安心感・安堵感も得られたりして。笑

常に娘を思い、時にはそんな娘を思って涙を見せたりもする杉村は本当に魅力的なキャラクターで、唯一無二の存在なんです。

前作『希望荘』のブログでは

シリーズ内では本書が一番好き

と書いた私ですが、この『昨日がなければ明日もない』は早くもそれをぶっちぎりに更新してしまいました!

これにはちょっとびっくり。

間違いなく、まだまだ終わらないでいてほしいシリーズのひとつです。

ということで今回は、ひとつひとつのお話について個人的五つ星評価とともに書いていきますね。

〇絶対零度 ★★★★★

主婦が自殺未遂の挙句行方不明になりました。

杉村の元に現れた依頼人は、その女性の母親

主婦の居場所と真相について調査していく杉村ですが、その裏には、想像を超えた事件が隠されていました。

本書では一番長い、200ページを超えるお話。

ですが一番夢中になり、短時間で読み終えたお話でもあります。

裏に隠れていた事件、登場人物たちの言動には何度はらわたが煮えくり返ったことか・・・

ことの顛末においては物足りなさを感じましたが、これがリアルな現実なのかなと思ったり・・・。

結末がわかった上で、絶対にすぐ読み直すことになるだろうと思ったお話です。

〇華燭 ★★★★☆

華燭とは、結婚式の席上の華やかなともし火のことだそうです。

依頼人は、町内の主婦

杉村は「とある結婚披露宴」に代理で出席することになりました。

そこでまたとんでもない事態に巻き込まれるのですが・・・

三作の中で一番落ち着いて読み進めることができました。

と言ってもそれは相対的なもので、こちらにも勝手な人物というのは登場します。

それでも、読後感も一番良く、温かさも感じられたお話でした。

〇昨日がなければ明日もない ★★★★★

「私の子供が殺される」という、なんとも激しい内容の依頼を持ってきたのは29歳のシングルマザーでした。

その詳細はさらにアクロバティックなもので・・・

表題作というだけあって、一番心にずしんと来るものでした。

ほんとにもう、世の中にはこれほど利己的で盲目でどうしようもない人間がいるのかと!

呆れるし胸が悪くなるし、腹立たしいし・・・

でも、次は何を言い出すんだろうと読み進めていく手が止まりませんでした。

どれだけ勝手でも、ひとりで勝手にやって行くんだったらいいんです。

だけど子供のことを思うと、胸がキュッとする。

どこか第二弾『名もなき毒』を思い出させる雰囲気がありました。

こういうのは辛いです。辛いし怖い・・・。

そしてタイトルの意味は最後にわかります。

これもまた、予想していた方向性とは全く違っていたので、ただただ呆然。

結末にも呆然。

読後は魂が抜けたみたいになってしまいました。

【個人的 五つ星評価】

容赦ない悪意に圧倒される度 MAX

杉村の存在が優しい度    MAX

シリーズの中でのおすすめ度 MAX

昨日がなければ明日もない (文春文庫) [ 宮部 みゆき ]

価格:902円
(2022/12/5 23:01時点)
感想(10件)

昨日がなければ明日もない (文春文庫 み 17-15)

新品価格
¥902から
(2022/12/5 23:01時点)

コメント

タイトルとURLをコピーしました