ネタバレなし 芦沢央 許されようとは思いません

芦沢央

はじめまして、かがやくさくらです。

このブログでは

すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、

あらすじはできるだけ最小限に、

感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。

完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪

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【芦沢央 許されようとは思いません 概要】

入社3年目の夏、常に最下位だった修哉が営業成績を大きく上げた。

上司にも褒められ、初めて誇らしい気持ちになったのだが、売上伝票を確認して全身がこわばる。

修哉は本来の注文の10倍以上もの誤発注をしていたのだった(「目撃者はいなかった」)。

他に、「子役とその祖母」「凄惨な作品を描き続ける画家」「実の姉の逮捕という事実に混乱する主婦」「祖母の納骨のためにとある村を訪れた青年」を書いた、全部で5編からなる短編集。

【ネタバレなし 感想と考察】

〇「お宝発見」となった芦沢央さん

私はいわゆる「作家さん読み」をするタイプで、好きだと思った作家さんの作品を順に読んでいくタイプなんです。

なので、新たに好きな作家さんが見つかることは、私にとってはまさに

お宝発見

なんですね。

私にとって芦沢央さんは最新の大きな大きな

お宝発見

であり、芦沢央さんに出会えたことでまたさらに楽しみが増えました。

最初に読んだのは短編集「今だけのあの子」

全編においてラストが秀逸な短編たちと、女性作家さんならではの切り口に惹かれて

さらにはまだ見ぬ未来を考えずにはいられない気持ちにもなり、一気にハマってしまいました。

「罪の余白」ではその独特な表現、思春期・女のコの空気感のリアルさにえぐみすら感じてしまったのですが、心が痛くなりながらも引き込まれてしまい

文字や文章が心をサクサク、ザクザク切り付けてくるような感じで、それが一番印象に残りました。

そして本書は私にとって、3冊目の芦沢央さん

メインとなる人物はそれぞれ営業マンの男性・子役の祖母・画家宅の家政婦・姉が逮捕されてしまった主婦・祖母の納骨に向かう青年と様々です。

それぞれテーマは違いますが、物語に引き込むチカラは流石です。

本書では人間の怖さ、脆さを強く感じました。

私は文庫で読みましたが、単行本と文庫では掲載順が違うそうですね。

個人的には文庫の順番の方がしっくりくる感じです。

ということで、今回はひとつひとつの短編について個人的五つ星評価と共に書いていきますね。

〇目撃者はいなかった  ★★★★★

営業マンの修哉は、自分のミスを隠すためにそれはそれは大胆な行動に出ます。

読んでいる方にとっては

いやいや、そんなことする方が怖いねんけど・・・(汗ダラダラ)

としか思えないんですが、人間切羽詰まってしまうとちょっともう、普通じゃなくなってしまうことってありますよね。

その辺の心理模写が妙にリアルでした。

ラストはこう来たかという感じです。

これで一気に掴まれました。

〇ありがとう、ばぁば ★★★★☆

孫娘を子役として必死に売り込む祖母

祖母の娘(少女の母)は乗り気ではなく、その2人の板挟みになっている少女が取った、信じられない行動の理由とは・・・。

少女の心情を思うと胸がキュッとなるお話でした。

ラスト、少女の言葉には

え。そういうこと!?

と、衝撃とインパクトが大きかったです。

〇絵の中の男  ★★★☆☆

凄惨な絵を描き続けた画家の人生は、作品に負けず劣らず凄惨なものでした。

その画家の人生を、家政婦が語っていくという形で書かれているのですが、そのせいか少し読みにくさを感じました。

物を生み出すという仕事は、思っている以上に壮絶なものなのかもしれないと思ってしまうほど、

ものすごくパンチの効いた作品です。

〇姉のように  ★★★★★

実の姉が逮捕されてしまった主婦

犯罪者の家族になってしまった。

彼女は他人の目や夫との関係に悩みながらも、慣れない育児・ママ友関係にも疲弊し、追い詰められていきます。

これがもう、あまりにリアルでリアルで・・・

でも読み進めていく手が止まりませんでした。

どこか他人事とは思えないんです。

「触ったら痛いってわかってる青あざを、あえて押してしまう」的な感覚。

多彩な本書の中でも、ダントツで一番に好きなお話です。

〇許されようとは思いません ★★★★★

青年祖母の納骨のために、祖母が暮らしていた寒村に向かいました。

祖母は生前そこで村八分にされていたようで、ことはそう簡単に進みそうもありません。

私は「村八分」の意味を詳しくは知らなかったので、とても怖くなりました。

人間の悪意ってすさまじいですね。

なのに、読後感は悪くなかったのが不思議。

タイトルに込められた意味にはいろんな意味でゾッとしました。

【個人的 五つ星評価】

引き込まれる度             MAX

芦沢央さんらしさ度           MAX

一度全部忘れてまた一から読み直したい度 MAX

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感想(9件)

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