はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【山本文緒 恋愛中毒 あらすじ】
どうか、どうか、私。
これから先の人生、他人を愛しすぎないように。
他人を愛するくらいなら自分自身を愛するように。
そう固く誓った水無月の心の中に、小説家の創路はいとも簡単に、強引に踏み込んできた。
傍若無人で調子がいい創路といることで、広がる世界。
固く誓った思いをよそに、水無月は自身の感情に飲み込まれていく。
【ネタバレなし 感想と考察】
〇私の中での『山本文緒さん三大作品』
本書は私の中で、『眠れるラプンツェル』『群青の夜の羽毛布』と並ぶ「山本文緒さん三大作品」のひとつ。
最初に読んだ時からずっとずっと大好きな作品です。
とてもパンチが効いていて続きが気になって仕方がなく、そして終盤の展開には本当に驚かされます。
こんなん予想できるわけない!
と思うのですが、何回も読んでいるとちゃんと伏線が上手く
それでいて自然に書かれているんですね。
それもいくつも。
上手いですね山本文緒さん!
こういうの、大好きです。
〇癖のある登場人物たち
登場人物は、みんなある程度理解不能です。
でも水無月と同じ立場であり、創路の愛人である他の女性たちには、ほんの少しですが痛いような共感がわきます。
癖のある登場人物の中でも、私が一番理解できないのは創路とその妻・のばらでした。
のばらとは何時間も一緒にいられないだろうし、創路の傍若無人っぷりには辟易しました。
こんな人が意外とモテるものなのかな~
と、一歩引いた所から見てみようとしましたが、よくわかりません。汗
それどころか、あるシーンで創路が水無月に言い放った言葉のせいで、私は決定的に彼が嫌いになりました。
自分の価値観が絶対ではないだろう
と。
ここについてはもっと語りたいのですが、ネタバレになってしまうので詳しく書けないのがもどかしいところです。
〇水無月と本書について。
ですが水無月は創路とのやり取りを真剣に受け取り、傷ついたり喜んだり、とにかく心身共に振り回されたりするわけです。
誰かに必要とされることで自分の価値を見出したり、かと思えば驚くほどはっきりものを言ってみたり。
水無月の創路に対する思いも行動も、とてもまっすぐなものに見えたり、とても歪んだものにも見えたりして
それが悲しくてしんどいです。
でもなぜかそれは、共感こそできないけれど他人事にも思えないんですね。
『恋愛中毒』ってものすごいタイトルですが、本当にまさにその通りなんです。
そして、時が経つごとに変化していく、人の心の流れを書くのがとてもうまい山本文緒さん。
これが本当にうまくて、怖い!
怖いんです、自分のことが書いてあるような気がして。
もうこれからはこうしよう。
こんなことはしないでおこう。
頭では考えてそう決めるんだけど、人間はそんな簡単なものじゃなくて・・・
水無月とは全然違うんだけど、それでもなんだか自分のことが書いてあるような、そんな気になってしまう。
不思議な、そしておすすめの小説です。
【個人的 五つ星評価】
不思議な共感が得られる度 ★★★★★
人の心の読み応え度 MAX
山本文緒さん作品の中でのおすすめ度 MAX
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