はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
山本文緒 落花流水 あらすじ
わがままで奔放に育っていた7歳の手毬。
彼女はこのまま、家族とともに幸せで平凡な日々を送るはずだったのだが・・・
姉だと思っていた母と暮らす17歳。
結婚をし、幸せをつかんだ27歳。
それから・・・
手毬というひとりの女性の人生を、半世紀にわたり描いた長編小説。
【ネタバレなし 感想と考察】
〇半世紀という歳月
本書は手毬の人生を描いているのですが、章ごとに10年ずつが経過して行き、
各章ごとに視点も変わります。
わがままで愛らしかった7歳の手毬が思春期を経て大人になり老いていく様には圧倒されます。
そして都度、手毬のイメージもどんどん変わるんですね。
手毬の行動が意外だったり、なるほどなとストンと落ちたり、本当にいろいろなことが起こるんです。
何度も、
手毬ってこういうことするん??
と思ったりもしました。
その辺に違和感を感じたりもしたのですが・・・
考えてみたら、人なんて案外そんなものなのかもしれないですね。
10年20年30年と生きていけば、環境や経験値で人は変わる。
でもそれはグラデーションみたいなもので、自分が変化している様はなかなかわからないし、
人のことなんてもっとわからないだろうなと思うと
これは新鮮な発見でした。
〇人生と「老い」を考える
手毬の人生はとても波乱万丈。
足元をがちがちに固めるほどの安定を好む私にとっては、とても遠い世界のお話のように思えます。
共感できる部分もあまりなかったんですね。
ですが。
終盤は心が痛いような、怖いような気持ちがものすごく強くなりました。
自分がその年齢に近づいて来ていて、「老い」がリアルになってきたからかもしれません。
すごく怖いと感じる反面、手毬は幸せなのかもしれないなと思ったり
どんな形であれ、周りに人がいてくれることはありがたいことなんだと思わせてくれました。
〇山本文緒さんらしさの詰まった小説
本書を初めて読んだのは、もう20年近くも前です。
当時私はまだ20代前半でした。
私の中での山本文緒さん3大作品は、昔も今も
『恋愛中毒』『眠れるラプンツェル』『群青の夜の羽毛布』
なんです。
この3作品はとてもパンチが効いているため、本書に関してはあまり印象が残らず、
もっと言えば、あまり面白くないとまで感じていたんですね。
ですが・・・
いやいやとんでもないです!!
山本文緒さんの作品は、読めば読むほど感じ方が変わりますし
さらには年を重ねるほどに、心に迫ってくるものがあり、重みも変わります。
本書も例外ではなく、今この年で読むことにもまた意味があったんだなと思いました。
また数年後、もっと先、
読み直すのが楽しみになった作品です。
【個人的 五つ星評価】
改めて人生を考える度 ★★★★★
読めば読むほど重みが変わる度 ★★★★★
山本文緒さん「らしさ」度 ★★★★★
価格:523円 |
新品価格 |
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