はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【山本文緒 群青の夜の羽毛布 あらすじ】
24歳になったさとるの門限は午後10時。
教師である母には逆らえない。
大学生・鉄男と付き合うようになっても、さとるは母を恐れていた。
そしてさとるは、家族に、自分自身に、次第に追い詰められていく。
このまま私は一生、この家で母と生きていくのだろうか。
鉄男がその家で目の当たりにしたものとは・・・
【ネタバレなし 感想と考察】
〇私の中での『山本文緒さん三大作品』
本書は私の中で『恋愛中毒』『眠れるラプンツェル』と並ぶ「山本文緒さん三大作品」のひとつ。
もう何度読んだかわからないほどの作品です。
さとる・みつるという男性のような名前を持つ姉妹と、その母の関係はとてもいびつであり、読んでいてとても息苦しくなります。
ものすごくリアリティのない、「お話の中の母娘」にも見えますが・・・
私にとってはこの母親の言動の端々が体温を感じられるくらいにリアルで。
本当にすぐそばに存在しているんじゃないかと思うくらいに怖かったです。
母と娘は難しい
という言葉を、何度か耳にしたことがあります。
ここまで極端な例は珍しいかもしれませんが、誰しも母親の言動や価値観に何かしら影響を受けているんだろうなと思うんです。
それは、良くも悪くも。
でも家の中のことは外の人にはわからない。
何が正しいのか。
何が普通か。
なんてわからないですし・・・。
もっと言えば、同じ家に住んで寝食を共にしていても、相手の本当のところをすべて理解するなんて絶対に不可能です。
家族って何なんだろうと、そんなことを考えてしまいました。
そしてとにかく、さとるの母は強烈です。
〇さとるの彼氏・鉄男。
鉄男がさとるに恋をした理由。
これにはなるほどなぁと思いましたが、同時にとても意外で。
その感情は私には想像もつかないものだけど、でもそういうこともあるんだろうなぁと妙に納得させられました。
好青年で健全である鉄男は、さとるとのことを真剣に考え真摯に向き合おうとします。
身勝手に見える部分やずるい部分もありますが
そこがまた人間らしいんですね。
さとるの家族の空気感とは全く違う存在。
そこに灯されたほのかな灯り、ほのかな温かさのような存在に見えました。
〇さとるの秘密
そして、終盤に明らかにされるさとるの家の秘密。
これは衝撃です。
それでもこの真実については、もしかしたら語り手が変わるとまた印象が変わるのかもしれません。
その真実もまた、人の数だけあるのかもしれないと思うので
果たして本当の事実はどうだったんだろう。
別の視点でも見てみたいなと思いました。
果てしないですけど。汗
そして本書で語られている物語のもっとずっと以前のお話や、さとるの母の生い立ちなど様々なことが知りたくなったお話です。
これも果てしないですけど。汗
きっとこれからも、何度も読んでしまうだろう作品です。
【個人的 五つ星評価】
続きが気になって仕方ない度 ★★★★★
母娘のヘビーな関係度 MAX
書かれていない部分まで知りたくなる度 MAX
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