はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
山本文緒 あなたには帰る家がある あらすじ
家族のために家を建て直そうか。
家族がもっと幸せになるために。
そう考えた茄子田太郎は、住宅展示場で営業マンの佐藤秀明と出会った。
茄子田の担当となった秀明は、妻・真弓と1歳になる娘との3人暮らし。
真弓は秀明との結婚、またそれを機に退職することを望み、思い通りの生活を手にしたはずだったのだが・・・
こんなはずじゃなかった
と、今度は自身が働きに出ることを望む。
佐藤秀明・真弓。
茄子田太郎・綾子。
二組の夫婦がそれぞれに出会うことで、物語が動き出す。
幸せとは何なのか。
ネタバレなし 感想と考察
〇二組の夫婦
物語の序盤から、割とみんな身勝手。
ちょっと読んでいてしんどいところもありました。
こんなん上手く行くわけないやん・・・汗
と。
それぞれの言い分は、確かに部分部分ではわかるのですが
人として、また誰かと生きて行く上でそんなんで大丈夫なのかと、特に佐藤夫妻にはその思いが強かったです。
あんまり共感できない汗
〇佐藤夫妻について
この佐藤夫妻は、お互いにとても幼い印象でした。
ですが、この夫妻の話し合いの場面は本当にリアル。
感情的になった時の女性ってこんななのか・・・
と愕然としてしまいました。
もちろん個人差はあると思いますが、他人事とは思えないんです。汗
真弓の中ではしっかりした思いがあって、我慢もして、努力もしている。
そして歩み寄ろうともしているのに・・・!
といった感じだと思うんですね、きっと。
でも相手があることだから伝わらなかったり、難しいこともあって、
だから感情的にもなってしまって、支離滅裂になっていって。
その心の流れがわかるだけに
うわ~これは苦しいなぁ
と感情移入してしまうんですね。
ですがおそらく、読者が男性だった場合は秀明に対して同じような思いを抱くんだろうなと感じるので、
ここが山本文緒さんのすごいところですね。
模写がとにかく、ひたすらリアルなんです。
この夫妻の話し合いは、客観的にみると話し合いの体を成していません。
秀明がしんどくなる気持ちもわかります。
でも秀明のような態度を取られたら、おそらく真弓じゃなくても納得はできないのではないかと・・・
もちろん真弓にも良くない部分はありますが、それでも彼女には変化があるように見えたし
他の登場人物にも、少しずつではありますが共感できる部分がないわけではなかったんです。
でも私は、秀明のことはずっと嫌いでした。笑
これも男性目線だと、全然感じ方が変わりそうですね。
〇生きるって大変。幸せって何だろう。
これ、いろいろ考えさせられました。
お互いの立場を交換すれば、相手の思いやしんどさもわかるんだろうけど、それはなかなか難しいことですよね。
だからその中で、お互いを思いやる気持ちって最低限必要なんだなと改めて感じました。
それでも、別々の人間だから難しい。
たとえ思いやっていても、表現の仕方や捉え方もそれぞれに違うし、行き違うことだってあるし・・・
それを理解してやっていく必要があるんですね。
結局それぞれに価値観があって、誰だって認められたいし心地よく過ごしたいし
しんどくなれば「自分はこんなにやってるのに!」って思ってしまうのが人間。
人が一緒にいることって、ものすごく難しいなぁと思います。
ですが人生って選択の連続で
(人って一日のうちでも、細かいものまで数えたら三万五千回の意思決定をしているそうです!)
嫌になっても、無理だと思っても、自分の人生から逃げることはできないんだなと
いろんな意味で感じたお話でした。
〇嬉しかったサプライズ
本書には、同じ山本文緒さん作品の「眠れるラプンツェル」の登場人物が出てきます。
別のお話の世界とのつながりが見えたことは、ファンにとってはものすごく嬉しいサプライズでした。
これはこの真弓のことだったのか~!と。
違う視点で書かれていると同じシーンでも印象が変わりますし、また双方の作品に奥行きが感じられて、とても良かったです。
個人的 五つ星評価
男女の話し合いのリアル度 MAX
サプライズが嬉しい度 ★★★★★
山本文緒さんの別の作品も読みたくなる度 ★★★★★
価格:792円 |
新品価格 |
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