はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【辻村深月 鍵のない夢を見る 概要】
放火現場で再会したのは、以前合コンで知り合った冴えない男。
なぜ私にはこんな男しか寄ってこないのか・・・
この男が、私と再会するために火をつけたのか(「石蕗南地区の放火」)。
夢ばかり語り、斜に構えた恋人から離れられず、心をすり減らしていく女性教師を待っていた破滅(「芹葉大学の夢と殺人」)。
等、地方の町が舞台となる、ささやかな夢を見た女性たちの暗転を描いた、全部で5編からなる短編集。
【ネタバレなし 感想と考察】
〇初・辻村深月さん作品
本書は私にとって、初めての辻村深月さん作品です。
辻村深月さんといえば、青春物や映画化もされた「ツナグ」「かがみの孤城」等が有名ですが
私は決して綺麗なだけではない人の内面、人間関係を書いた小説が好きなので、初めての辻村深月さん作品に本書を選びました。
全編、犯罪が絡んだ短編集となっていて、主人公は全員女性。
ひとつひとつは40~60ページ程度と短めではありますが
重くてイタい。
本当にいろんな意味で、重くてイタい。
その印象が一番強かったです。
〇体力と気力がある時に
全部で5編。
ものすごく刺さるお話もあれば、このような小説が好きな私でも、読んでいてしんどくなってしまう短編もありました。
読み手が女性であるか、男性であるか
どの年代か
どんな人生を送ってきたのか
そんな、人のあらゆる構成要素の違いによって、感想がものすごく変わるであろう短編集だと思います。
できれば気力体力がある時に読まれることをおすすめします。
ということで、今回はひとつの短編について個人的五つ星評価と共に書いていきますね。
〇仁志野町の泥棒 ★★★★☆
ミチルは、母と参加した観光バスツアーで、添乗したバスガイドが小学生の頃の友達だった律子だと気付きます。
律子は転校生だったのですが、次第にミチルと仲良くなり、お互いの家を行き来するような関係になっていきました。
ですが、近所中に噂話が広がります。
りっちゃん(律子)のお母さんは泥棒だ
十分に重いお話なのですが、本書を読み終えてみるとこのお話が比較的ライトだったことに気付きました。
最初はこのお話で正解だと思います。
〇石蕗(いわぶき)南地区の放火 ★★★★☆
公有物件の保険事業を担当する部署に勤めている笙子。
実家の前にある消防団の詰め所で不審火があり、その現場調査に向かいます。
そこには以前合コンで知り合った、消防団員・大林の姿がありました。
彼の不自然な対応に、「私に会いたいがためにこの人が火をつけたのではないか」と疑い始める笙子でしたが・・・
読んでいて一番痛々しくて、なぜかそれが悲しかったお話。
〇美弥谷(みやたに)団地の逃亡者 ★★★☆☆
サイトで出会った美衣と陽次は、着の身着のままで行動を共にしています。
その目的、状況はわからないまま、物語は進んでいくのですが。
最後にその真実がわかった時は戦慄。
私には、登場人物の心理はイマイチよくわからなかったです。
〇芹葉(せりば)大学の夢と殺人 ★★★☆☆
研究所の教授・坂下が殺害されました。
美玖はその事実を知り、かつての恋人・雄大が犯人なのではないかと不安で仕方なくなります。
いつも斜に構え、ありえない夢ばかり語っていた雄大。
不安と雄大への思いの末、美玖が取った驚くべき行動とは。
このお話は一番しんどかった・・・
いろんな意味でイタくてしんどいです。
〇君本家の誘拐 ★★★★★
大型ショッピングモールで、娘の咲良がベビーカーごと姿を消した。
良枝は半狂乱になって娘を探すのですが・・・
あんなに待ちわびた妊娠。
育児という現実。
夫の関係。
眠りたい、眠れない。
そして、友人とのヒリヒリするようなやり取り。
全部があまりにもリアルで辛くて、文章、言葉、ひとつひとつが刺さりました。
私的に、これは最後を飾るのにふさわしいお話です。
【個人的 五つ星評価】
読むのに体力気力がいる度 MAX
読み手によって感想ががらっと変わるであろう度 MAX
重くてイタい度 MAX
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