はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【宮部みゆき ソロモンの偽証 あらすじ】
クリスマス未明にひとりの生徒が校内で転落死した。
事故か、自殺か、それとも他殺か。彼はなぜ死んだのか。
多くの不安、疑念、その他様々が広がる中、それは同級生の犯行だと名指しする告発文が届く。
過熱する報道。混乱する保護者や学校。
それらは治まることなく人々の悪意は溢れ、やがて「犯人捜し」が公然と始まった。
大人には任せていられない。
生徒たちは真実を求め、立ち上がった。
果たして彼の死の真相とは・・・
【ネタバレなし 感想と考察】
〇宮部みゆきさん超大作
本書は文庫本で全6冊。全3000ページ越えの超大作。
ちょっとこれだけで怯んでしまいそうなんですが、
それで読まないという選択をするのはもったいない!
と、私は心から思います。
内容は3部構成。
1部は、事件が起きてから、学校や大人たちには任せていられないと主人公・藤野涼子が立ち上がるまで
2部は、学校内裁判を決意した涼子たちが仲間を募り、その下準備に動く様。
そして個々が自分のするべきことは何なのか、自分の立ち位置はどこなのかを考え、それに立ち向かうまで。
3部は学校内裁判本番。
となっています。
また、本の厚さもそうですが、登場人物もかなり多め。
中学校が舞台となっているので、必然的に中学生の登場人物だけでもかなりの人数になります。
最初は覚えられるのか不安になったりもしたのですが、それでも宮部みゆきさんの作りこみはさすが。
それぞれの背景、キャラクターがはっきりしている上に自然なので、個々の言動もとてもしっくりくるし、混乱せずに読み進めることができました。
〇丁寧に描かれた、立体的な世界
中学生が学校内裁判。
それだけを聞くと非現実的な印象を受けますよね。
ですがそこに至るまでの彼ら、彼女らの心の動きはとても丁寧に書かれていますので、物語としての違和感はありません。
また
大人には任せていられないと立ち上がるのが中学生たち
というのも、本当に大きなポイントだと思うんです。
柔らかい心を持つけれど、決して「子供」と言い切ることができない年代である彼ら、彼女らのぶつかり合い、まっすぐな思いには涙が出るところもありました。
年齢的には「子供」なんだろうけど、「子供たち」と書いてしまうのがためらわれるほど
瑞々しくてたくましくて眩しい。
私は中でも特に、3部の後半3分の1に、とんでもなく心が持っていかれます。
またその親たち、教師たち、その他の大人たちもたくさん出てきます。
そこに中学生たちも加わり
それぞれが「良かれと思って」「保身のために」「子供のために」と取ったすべての言動が絡み合っていって物語が形作られていくんですね。
無駄が一切ない。
そしてこれだけ多くの登場人物を書きながら、それぞれを
ただ悪い人・ただ嫌な人・ただいい人
のようには決して書いてはいない宮部みゆきさん。
人間はそんな単純ではないことも、しっかり描いてくれています。
そんなこんなをすべて含めて、もうものすごいとしか言いようがない。
語彙力のなさが恥ずかしいです。汗
〇でも、ひとつだけ
本書を初めて読んだ時は、面白さに夢中になってそのまま流れに乗って、最後にはそのラストに驚きました。
分厚さがすごいので、読んでいくうちに自然とこぼれ落ちていったりする部分もありますが
読みかえせば読み返すほどに、宮部みゆきさんの伏線の張り方、物語の丁寧な作りに驚きます。
物語の面白さはさることながら、それを拾い集めていくのも、本書を読みかえす楽しみ・面白さ・理由の一つ。
今後これからの人生で何回読み返すかわからないなと思う作品です。
でもひとつだけ。
できれば中学生、涼子たちと同じ年代の頃に一度読んでみたかった。
その時の自分が本書を読んでどう思うかを知りたかったなぁと、それだけは残念です。
こんなことを思ったのは、本書が初めてでした。
【個人的 五つ星評価】
宮部みゆきさんのチカラに驚く度 MAX
瑞々しさが眩しい度 MAX
中学生の時に読んでみたかった度 MAX
ソロモンの偽証(〔1〕(第1部)) 第1部 事件 上巻 (新潮文庫 新潮文庫) [ 宮部 みゆき ] 価格:880円 |
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