ネタバレなし 宮部みゆき 希望荘(杉村三郎シリーズ)

宮部みゆき

はじめまして、かがやくさくらです。

このブログでは

すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、

あらすじはできるだけ最小限に、

感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。

完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪

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【宮部みゆき 希望荘 概要】

『誰か』『名もなき毒』『ペテロの葬列』を経た杉村三郎は、東京都北区に私立探偵事務所を開設した。

そんな杉村の元に、亡き父が生前残した告白の真偽を調査してほしいとの依頼が舞い込む。

「昔、人を殺した」

果たしてその真相とは・・・(表題作「希望荘」

杉村三郎シリーズ第四弾にして初の短編集。

【ネタバレなし 感想と考察】

〇私立探偵となった杉村三郎

ここからはシーズン2と言った感じでしょうか。

本書では、これ以前のお話や杉村の経験してきた諸々も要所要所で書かれています。

この辺はそれぞれ簡潔に説明してくれているので、とてもわかりやすいです。

第一弾『誰か』から順に読む方がより楽しめるかとは思いますが、本書から読み始めても十分面白いと思いますし、またここから遡って過去の作品を読まれるのも楽しみ方のひとつかも。

これまでの三作、私はすべて大好きで、だからこそここまで読んできたともいえるんですが

シリーズ内では本書が一番好きな作品かもしれないです。

というか、私立探偵である杉村三郎が好きなんですね。

〇実は・・・

シリーズ第四弾ということで、当然杉村もたくさんの、そしてとても大変な経験を重ねてきています。

もともと杉村は穏やかで、人の気持ちを思いやることができる一方で厳しい面も持ち合わせている、とても魅力的な人物です。

その存在がこのシリーズに癒しと安心を与えているのだと思うんですが

本書では、その人の好さ、優しさは変わらずに

その中で秘める厳しさ、いい意味での策士的部分の目盛りが少ーし増えたのかなと、個人的にはそう感じました。

でも、そんなところもやっぱり魅力的です。

そして。

これ、このタイミングで書くん??

という感じかもしれないんですが・・・

私は第一弾からずっと、杉村の妻・菜穂子がどーーしても好きになれなくて・・・

ずっとそうだったんですけど、本当に、やっぱりどうしても、本書でも好きになれなかったですね。

これは無理。無理です。汗

ということで、今回はひとつひとつの短編について個人的五つ星評価とともに書いていきますね。

〇聖域 ★★★★★

亡くなったと聞かされていた女性とよく似た人物を見かけたという依頼人

身なりや化粧の具合は別人級だったんだけれど、身振りや話し方はその人そのものだったという。

杉村はその真相を探るのですが・・・

前作『ペテロの葬列』を思い出させるような模写もあり、杉村の厳しい一面も見られ、最初を飾るのにふさわしいお話でした。

〇希望荘 ★★★★★

表題作。

これはもう、設定にすぐ掴まれてしまいました。

その告白の真相を探ろうにも肝心のご本人はもう亡くなっているので、アプローチにも限界がありますしね。

このお話の顛末にはやるせない気持ちになりました。

絡み合う人の思い、秘められた心の叫び。

それでも、この件に携わったのが杉村で良かったと思わずにはいられませんでした。

〇砂男 ★★★★★

杉村が私立探偵を始める決心をするまでに至った経緯が書かれています。

杉村はここで、後に後ろ盾となり尽力してくれる蛎殻昴(かきがらすばる)と出会うんですね。

の肩書は調査会社「オフィス蛎殻」の経営者。

そしてともに、身近で起こった不可解な案件にを調査していくのですが・・・

このお話では第二弾『名もなき毒』で書かれた世界が蘇ったようで、また同じ意味でゾクッとしました。

蛎殻との出会いと、杉村の決心。

そして今までは多く語られなかった杉村の両親や兄姉夫婦のことが書かれていたのも嬉しいところです。

こんなにあったかい場所があるんやん。

中でも兄の娘である姪っ子の存在がとても良かった!

杉村の側には、こんな子が必要なんじゃないかなぁ。

〇二重身ドッペルゲンガー ★★★★☆

未曾有の災害、3.11東日本大震災。

その前後のお話です。

とある人物が行方不明になり、はちょうどその頃仕事で被災地に向かっていたのだというのですが・・・

の安否は。そして、今どこにいるのか。

題材が実際に起こった大震災ということで、読んでいて当時を思い出してしまうことが多々ありました。

途中で少し先が読めてしまうところもありましたが・・・

このお話では、また魅力的な登場人物が出てくるんですね~。

姪っ子とはまた別の形で、杉村に足りない部分を埋めてくれそうな存在。

今後も出番があることを期待しています!

〇総評

本書は、

たくさんの謎や出来事がちりばめられていて最後にそれがひとつになる

というよりは

道中でそれらを拾い集めていってゴールにたどり着く

といった印象が強かったです。

そして何よりも、私立探偵・杉村三郎の今後の活躍にはワクワクしかありません!

最後まで楽しめた短編集でした。

【個人的 五つ星評価】

私立探偵になった杉村が好き度 MAX

魅力的な登場人物発見度    MAX

シリーズの中でのおすすめ度  MAX

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感想(11件)

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