ネタバレなし 湊かなえ カケラ

湊かなえ

はじめまして、かがやくさくらです。

このブログでは

すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、

あらすじはできるだけ最小限に

感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。

完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪

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【湊かなえ カケラ あらすじ】

幼馴染から「痩せたい」という相談を受けた、美容外科医の橘久乃

そのカウンセリング中に出てきたのは、太っていた同級生・横網八重子の思い出と

その娘の有羽が自殺をしたという話題だった。

有羽の死をめぐる、人々の証言。

それぞれに食い違い、見え隠れする自己正当化の声たち。

有羽を追い詰め、死に追いやったものとは一体何だったのか。

【ネタバレなし 感想と考察】

〇湊かなえさん!というらしさ

ひとりの少女が大量のドーナツに囲まれて自殺した。

美容外科医の久乃が幼馴染からその事実を聞き、その少女が誰なのか、またその母親が誰なのかを知り・・・。

その事件の真相を知ろうと、たくさんの人々に話を聞いていくことで物語は進んでいきます。

その相手は章ごとに変わり、相手の独白という形で書かれているところが湊かなえさんらしいなぁ!という感じです。

ですが、その書き方からなのか、登場人物が多いからなのか・・・

またその時系列が前後したり、次々に出てくる登場人物たちの関係性も年代も大きく違ったり、親世代子世代で複雑に絡み合って行くので

ちょっと読みにくい部分がありました。

これはどっちの誰やったっけ・・・(汗)的な混乱も少々。

ですがこの複雑さが本書を構成する大事なポイントだと思うので、相関図が書いてあると台無しになってしまうんですよねきっと。

ということで、もし可能であれば簡単な相関図を書きながら読まれると、より分かりやすいかもしれないです。

〇ルッキズムというテーマ

テーマはルッキズム。

見た目で判断されたり、したり。

そんなことは子供の頃からあったように思うし、大人になった今でもそう変わらないのではないか、とも思います。残念ながら。

本書で描かれている中高生の世界なんか、すごくリアルに思えて・・・

ここはなんかしんどかったです。

そして大量のドーナツに囲まれて亡くなった有羽の言う「いじりの定義」、その言葉には、共感しかありませんでした。

ただいじってるだけやん。

とか

冗談やん。

とか。なんなら

それをわからないこっちがセンス悪い

的なあれとか。

こういう類、たとえ自分に向けられたものではなくても

何様やねん。おもんないねん。

と思ったことないですか?

私は、ある。

だから本当に心から共感できました。

というか、一番共感できたのがここ!というだけで、私は本書全体としても有羽のターンが一番理解できたし、一番心が揺さぶられたかな。

有羽のこの内面に、本質に、もっといろんな人が気付いていれば

もっと「個」を尊重していれば、この悲劇は生まれなかったのかもしれないと思うと悲しくなります。

有羽が本当に魅力的だっただけに余計に。

〇自分にとってはそうでも

独白形式で進んでいく各章では、登場人物たちの言い分や解釈の仕方がそれぞれに微妙に食い違っていることがわかってきます。

ですが人には人の価値観があって、結局は自分のフィルターでしか物事を見れないんですよね、きっと。

同じ過去を共有しているからといって、同じものを見ていたとか、同じ気持ちであったとは限らない。

事実と真実は違う。

こんなことって現実世界でも普通にたくさんあることだと思うんです。

と思うとなんか怖いけど、独白部分が与えられていない登場人物たちにだっていろんな思いがあるだろうし、

そういう意味では、私は有羽の父親の独白も聞きたかったかな。

また一方で、「揺るぎのない正義」だと思って取った行動も、自分以外の誰かにとっては暴力になってしまうこともある。

それってすごい恐ろしいことだと思ったし、自分も知らぬうちにそんなことをやってしまってはいないかと、そんなことも怖くなりました。

〇有羽はなぜ自殺したのか

確かに太ってはいたけれど、有羽はとても魅力的な少女でした。

そんな有羽がなぜ自殺を選んでしまったのか。

複雑に絡み合った各章は、最終的にそこに終着します。

でもやっぱり、どう考えてもこんな結末だけは悲しすぎた。

どうすればこの少女が亡くならずにすんだのか

それを考えると、これって決して本書の中だけの問題じゃないようにも思えて。

でも社会は変わらないし他人も変えられない。

自分自身の確固たる思いとか、そのままの自分を認めて受け止めてくれるゆるぎない存在とか、そういうものがあれば強くいられるのか。

だけどそれにだって限界がある。

これって現代社会への大きな問題提起なのかなと、最終的にはそう感じてしまいました。

ただ私は、癖のある登場人物たちの中でも特に久乃が一番好きになれませんでした。

プロローグ・エピローグも綺麗なことを話してるだけで、ちょっと何を言っているのか伝わってこない。

無自覚で人を傷付けてる感じとかがもう・・・

でもこれも、誰に肩入れするかによって変わると思うし、決めつけちゃってるのかなぁ・・・

各章では登場人物たちの話を聞く側だった久乃ですが、久乃の独白を聞けばまた違った印象になるんでしょうね。

【個人的 五つ星評価】

有羽の言葉が刺さった度         MAX

どうすればよかったのかを真剣に考えた度 MAX

大きな問題提起だと思う度        MAX

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