はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【京極夏彦 魍魎の匣 あらすじ】
駅のホームから少女が転落した。
これは事故か、自殺か、それとも―
その少女は大財閥の遺産相続人だったのだが、女優であり少女の姉である女性の言動はなんとも不可解で要領を得ない。
さらにそんな中、重体の少女は刑事たちの警護も虚しくベッドの上から忽然と姿を消してしまった。
一方で巷では連続バラバラ殺人事件が世間を騒がせていた。
百鬼夜行(京極堂)シリーズ第二弾。
【ネタバレなし 感想と考察】
〇百鬼夜行(京極堂)シリーズ第二弾
本書は東京警視庁刑事部捜査一課の刑事である木場修太郎(木場修)がメインのお話です。
前作『姑獲鳥の夏』から一月ほど経った頃。
木場修はその事件の後処理、書類作成に追われていました。
そしてやっとひと段落と、終電に間に合うように帰途についたのですが
そこで乗っていた電車が人身事故を起こし、たまたま居合わせていた木場修は立場上事件に巻き込まれていくんですね。
異性とうまく話すことができない質の木場修が、この件の被害者である少女・加菜子の姉であり女優であった陽子と出会ったことで
その事件に大きく関わり、不可解なことだらけだったこの件は次第に「木場修の事件」となっていくんです。
この流れもそうなんですが、本書では私は何より、無骨で不器用で意外にも繊細な木場修がものすごく切なかったです。
もちろんシリーズの主要人物である中禅寺秋彦(京極堂)・関口巽・榎木津礼次郎も相変わらずで
そこは安心感と安定感抜群。
なかでも榎木津が大好きな私は、今回も変わらない彼の変人ぶりがものすごく嬉しかったです。笑
〇事件の構図
本書では複数の事件が起こります。
そしてそれらが絶妙に絡まり合っているんですね。
まず、木場修が関わってしまった加菜子の人身事故。
その現場に加菜子の友人・頼子もいたのですが、
これは事件なのか事故なのか自殺なのか
それがはっきりしない。
また巷ではバラバラ殺人事件が起きていて
さらに頼子の母親は怪しげな教主様に心酔していました。
そして事件はそれらだけではなく・・・
それこそ、
それぞれはバラバラの事件のように見えたのですが
ある部分は重なり合っている
という不思議な構図。
これが本当に絶妙で、素晴らしいとしか言いようがないんですね・・・!
〇秘かに最高傑作
そして終盤の
「秘密の解明」
この順番がもう、まんまと心を鷲掴みにされるんです。
進んでいくごとにそれは増していき、次第に鷲掴みどころではなくなって
完全に魅入られてしまいます。
箱
匣
ちょっと気味が悪いくらいに箱と匣。
読んでいるだけでも引きずり込まれてしまいそうだったので、
もし私がこの世界のこの場にいたら、心身ともに完全に飲み込まれてしまっていただろうなと思います。
見事です!
ラストにはものすごい衝撃と、ある意味での爽快感があったのですが
こんなことを思う私はちょっとおかしいのかなと思ったりもして。汗
文庫分で1048ページとまさに箱レベルの分厚さですが、
私にとっては間違いなく、百鬼夜行(京極堂)シリーズにおいて最高傑作だと、秘かに思っている作品です。
【個人的 五つ星評価】
木場修が切ない度 MAX
世界観にハマる度 MAX
シリーズの中でのおすすめ度 MAX
価格:1,650円 |
新品価格 |
コメント