はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【京極夏彦 狂骨の夢 あらすじ】
夫を殺害し遺体の首を切断したという女は、教会に懺悔に訪れその告白を始めた。
そしてさらに、死してもなお蘇る夫を何度も手にかけてしまったという。
妄想、狂言とも思えない明晰な口調で語る女に、当惑する聞き手たち。
登場人物たちの過去や夢、信じている考えの中にはいずれも「骨」「髑髏」という共通項があった。
事件の真相にたどり着く鍵は「夢」なのか。「骨」なのか。
百鬼夜行(京極堂)シリーズ第三弾。
【ネタバレなし 感想と考察】
〇初登場、「いさま屋」こと伊佐間一成
今回初登場するのは、釣り堀屋を営む伊佐間一成。
伊佐間は戦火で焼けてしまった実家の宿屋「いさま屋」で、唯一残った生簀を改造し釣り堀屋をしているのですが、その屋号から「いさま屋」と呼ばれています。
そしていさま屋は、部隊では探偵榎木津の部下でした。
その見た目は、初対面の榎木津に開口一番「年寄り臭い」と言われるほどで(めっちゃ失礼。でも榎木津なのでしょうがない。笑)、
さらには常に国籍も年齢もわからないような服装をしている飄々とした男。
という、まさに中禅寺(京極堂)・関口・榎木津・木場(木場修)といった主要人物たちに引けを取らない人物なんですね。
関口とはまた違ったようでいて、どこか似ていると言えなくもない雰囲気。
このいさま屋のマイペースさも、関口と二人の会話と空気感も、私にとってはある意味癒しのポイントでした。
とんでもなく癖の強い登場人物たちや次々に起こる不可思議な出来事、事件にまみれていく中で、ここではふと日常や「普通」を感じさせてくれるような、そんな気がするんです。
〇キーワードは
そのいさま屋と、今回キーとなる登場人物・朱美の会話ややり取りはなんとも『粋』。
そもそも朱美という女性が粋なんだと思うんですが、私はこの朱美が本当に好きでした。
物語は、たくさんの登場人物の夢や不思議な体験、信じているもの等
一見無関係に思えるものがそれぞれの視点・日常から描かれていきます。
そしてそれらすべてに共通するキーワードは
骨
髑髏
これがまぁものすごく不気味なんです。
ですが、ホラー感が満載だった前作『魍魎の匣』と比べれば今回は結構おとなしめ。
その分インパクトは少ないと言えば少ないかもしれないです。
〇何回も読みたくなる理由
自分の中に他人の記憶が存在するという朱美。
幼少期の恐怖体験が忘れられない牧師。
同じく幼少期から何度も見る、奇妙な夢に人生を翻弄されてしまった精神科医。
八年前の猟奇殺人事件。
そして現代で起こっている、数々の事件たち。
序盤は
こんなにもいろいろ多方面に話が広がっていって大丈夫なーん。汗
と思ったりしたんですが、そこは京極夏彦さん
もちろんすべて気持ちよくストンと落としてくれます。
これだけのエピソードがあるにもかかわらず根っこはひとつであり、最後にはきちんとまとまる。
伏線の張り方も絶妙なんですね~。
常々、文章や語彙などからもそうとう頭の良い方なんだろうなと思ってはいましたが
京極夏彦さんの頭の中はどうなっているんだろうと。
いい意味で驚きです。
欲を言えば主要人物たちの登場はもっと早い方が嬉しいですが(京極堂の登場にいたっては後半の後半くらいが初でした)
ラストは小気味がよくて大好きですし
読み終わった後にはまたイチから読み直したくなることは必然。
絶妙で自然すぎて伏線と気付かなかった伏線にも、再読すれば気付けたりするのもまた楽しみのひとつです。
【個人的 五つ星評価】
朱美が粋で素敵度 MAX
小気味のいいラスト度 MAX
シリーズの中でのおすすめ度 ★★★★★
価格:1,540円 |
新品価格 |
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