はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【近藤史恵 はぶらし あらすじ】
脚本家として成功し、ひとり暮らしを満喫する鈴音の元に、高校時代の友達・水絵がやってきた。
10年以上ぶりに再会した水絵は、子供を連れて離婚しリストラに合ったことを打ち明けた上で、再就職先を決めるために一週間だけ泊めてほしいと懇願する。
鈴音は不本意ながらも承諾し、共同生活を始めるのだが・・・
人は人として、相手の願いをどこまで受け入れるべきなのか。
【ネタバレなし 感想と考察】
〇人への親切、人を助けること
今までにもこのブログで何度か書いてきましたが、私は
決して綺麗なだけではない人の内面・人間関係
を書いた小説が好きです。
本書は女性同士の関係、ドロドロまではいかないけれど
なんとも言えないリアルな心理模写に、どんどんハマっていきました。
人への親切
人を助けること
それはどこまでやるべきなのか
改めて考えてみたことはないけど、これってすごく難しい。
関係性にもよるし、その時の自分の状況にもよるし、
いやでも、そもそも普通に考えて嫌やん
本書の内容に関しては、読者として鈴音目線で率直にそう思います。
水絵の要求は、彼女にとっては深刻でそうしても必要なものなのかもしれないけど、
それはそれとして、鈴音が自分を抑えてここまですることなのか、とかも思うんですが・・・
相手の状況によっては
ここで手を離したら自分が後悔する
寝覚めが悪い
罪悪感が残る
等々・・・
その辺のせめぎ合いとかがめちゃくちゃわかるんですね。
しかもその思い、「普通わかるやん」っていうラインも、要求する側・される側で全然違ったりもするんだろうなと思うと・・・。
難しいわ・・・
とにかく、続きが気になって仕方がないんです。
〇めっちゃ腹が立つけど
私はずっと鈴音目線で読んでいたので、水絵には終始イライラしっぱなしでした。笑
もう突き放せばいいのに!
と本気で思うけど、鈴音の中の葛藤もわかる。
そしてめっちゃ腹が立つけど、いっぱいいっぱいな時に水絵のようになってしまう気持ちも、わかるっちゃわかる。
そしてこの二人の関係性はただ大人同士の関係というだけではなく
その中に7歳になる水絵の息子・耕太がいることがすごく大きなポイントとなっているんですね。
悪く言えば「だからややこしい」。
でも、だから話が面白い。
この設定が上手いなぁと思うんです。
〇突然心の中に落ちる違和感
また、誰かとの関係の中で突然心の中に落ちる違和感。
これがもう、めちゃくちゃ共感できました!
家族とでも友人とでも、それはみんな自分以外の人との人間関係なので
何も、1ミリも、「え?」とか「ん?」とか思う瞬間が一切ない関係なんて、私はほぼないと思っているんですね。
上手く言えないんですが・・・
どんなに好きでも、どんなに親しくても、完全無欠の100%の関係なんてないというか。
が。
ここで言う違和感はそんな優しいものではなく、なんかもう、相手に対して
あ。なんか足突っ込んでもうたけど間違ってたかも
という、選択を間違った、もう戻れない系の、一瞬ひんやりするような違和感。
こういうのって、一度感じてしまうと自分の心の修復が不可能のような気がするんですよね。
だからこそ、
あ。気付いてしまった(やばい)
っていう、そういう意味でも頭が真っ白になるというか。
これは全部私の想像なんですが、そういうところももう自分のように感じてしまって・・・
上手いなぁ近藤史恵さん。
と思ってしまいました。
私、こういうお話すごく好きです。
でもラストで明かされる「ある事実」には少しホッとしました。
【個人的 五つ星評価】
腹立たしいけどわかるっちゃわかる度 ★★★★★
他人事ではない感情に共感する度 MAX
自分を重ね合わせてしまう度 MAX
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