はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【東野圭吾 分身 あらすじ】
私にそっくりな、もう一人の私。
函館に生まれた鞠子は札幌のの大学に通う18歳。
自分に瓜二つの女性が、最近テレビに出演していたらしい。
双葉は、アマチュアバンドでボーカルをしている東京の女子大生。20歳。
彼女はなぜか、母からテレビに出演することを固く固く禁止されていた。
鞠子と双葉、この二人を結ぶものとは・・・
【ネタバレなし 感想と考察】
〇東野圭吾さんのチカラ
父にも母にも顔が似ていない。母に愛されていないのではないか。
と悩んできた、函館に住む鞠子。
バンドを組み、オーディションに挑むも
テレビに出てはいけない。プロを目指してはいけない。
と頑なに母に止められている、東京に住む双葉。
自らの出生に疑問を持った二人の章が交互に書かれているので、とても分かりやすく読みやすいです。
本書が単行本として刊行されたのは1993年。
今(2023年現在)では耳慣れた言葉でも、当時はSFに近いような響きだったのでは・・・と思うところが度々出てきます。
私は完全な文系なので理系のお話はよくわからないことが多いのですが
人が踏み込んではならない領域というのはあると思うし
でも本書で描かれているような事実は、まったく同じではなくともこの世の中のどこかでは起こっているのではないかと思えてしまって、それが怖かった。
というか怖いです。
東野圭吾さんがこのお話を30年も前に書かれていることに驚きますし、また一方で東野圭吾さんの真骨頂にも感じてしまう。
とても読みごたえのある作品です。
〇鞠子と双葉への思い
鞠子と双葉。
それぞれに自分の持つ疑問と問題を解明しようと行動しますが
この行動力は素晴らしい。
若いのに。というか、若いからなのかな。
その模写はどこかキラキラとしていて眩しいんです。
そっくりという次元を超え、まったく同じ容姿を持った二人は出会えるのか。
出会えるとしたらいつどこでなのか。
そんなことを考えながら読み進めました。
展開にはゾクッと寒気を感じるところもありますが
鞠子、双葉、二人の思いがどんなものであったのかは、ここまで来るとさすがにリアルには想像できなかったです。
もし自分だったらと考えてみても、こんなに強くいられる自信は全くない。
それでも、二人を結び付けるもの、思い、たどり着いた答えには胸が熱くなりました。
〇読書の醍醐味。何度も読んだからこそ感じること
今までにもこのブログで書いてきましたが、私は小説を何度も何度も何度も読み返すタイプです。
読む回数、その時の年齢、状況によって、感じ方が変わることも読書の醍醐味の一つだと思っているから。
そして数年ぶりに読んだ本書も、例外ではありませんでした。
最初に読んだ時も、その後何度か読み返した時にも
なんて酷いこと言うねん・・・(絶句)
と嫌悪感しかなかった人物に対して、今回は
その気持ちわかるような気がする・・・
と思えたことが、今回新たな発見だったんです。
これはあれかな・・・年齢を重ねたからこう思えるのかもしれないですね。
ですが。
その中でもやはり「ある人物」に関しては今回も
なんやそれ。擁護ポイントいっこもないやん
と思ったんですけどね。汗
それでも、特に鞠子がたどり着いた答えに私は言いようのない温かさを感じて、涙が出そうになったんです。
これも私が年齢を重ねた結果なのかもしれませんが・・・
そしてなんともいってもラスト。
初読の時は正直物足りないと感じていていたけど、場所もタイミングも素晴らしくてとても余韻が残り、これがベストなんだと感じたんです。
とんでもなくグッと来たんですよね。
でも、二人のその後はものすごーーく気になるところです。
【個人的 五つ星評価】
鞠子と双葉が眩しい度 MAX
当時の東野圭吾さんの発想に驚く度 MAX
踏み越えてはけない領域が怖い度 MAX
価格:946円 |
新品価格 |
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