はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【芦沢央 汚れた手をそこで拭かない 概要】
平穏に夏休み終えたい小学校の教師・元不倫相手を見返してやりたい料理研究家・・・
きっかけは、ほんの些細な秘密だった。
保身、傲慢、油断、猜疑心等々
自分自身の毒に蝕まれ、気が付けば取り返しのつかない場所に立っているという恐怖。
全部で5編からなる短編集。
【ネタバレなし 感想と考察】
〇5編からなる短編集
いずれも、ごく普通の日常からふと転がり落ちてしまう恐怖。
悪意があったわけでもない。
何かを企んでいたわけでもない。
日常の地続きにある恐怖だからこそ、めっちゃ怖いんです。
芦沢央さん、こういうの上手すぎないですか・・・!?
ということで今回は、各話について個人的五つ星評価と共に書いていきますね。
〇ただ、運が悪かっただけ ★★★★☆
余命わずかの妻。
何も残せないのなら、せめて何かを引き取りたい。
との思いで、夫の背負ってきたとある事実を知ることになります。
このお話には、他の4編にはない余韻を感じました。
〇埋め合わせ ★★★★★
小学校の教員である主人公は、職場で大きなミスをしてしまいます。
パニックになりながらも、なんとかそれを隠蔽できないかと頭をフル回転させ、それを実行しようとするのですが・・・
これがなんともまぁ恐ろしい・・・
心理模写もその追い詰められ方も、恐ろしい!
おそらく、平時であれば正直に話した方がいいことは誰にでもわかるんだろうけど。
でも。
なんだかすべてが他人事とは思えず、ゾッとしました。
そして何より、ラストが秀逸。
〇忘却 ★★★★★
隣でひとり暮らしをしていた老人がなくなりました。
自分たち夫婦のうっかりミスがその原因だと思い当たった夫は、その事実を妻に気付かせまいとするのですが、
その裏ではまた別の問題が起こっていました。
なんという結末・・・!
人間て慣れる。慣れって怖い。
〇お蔵入り ★★★★☆
とんでもない苦労を乗り越え、納得のいく映画を撮り終えた監督。
ですが。
主演俳優の薬物疑惑が浮上。
これが明らかになれば映画はお蔵入りになってしまう。
それだけは・・・!
と、なんとかそれを阻止しようとする監督の行きついた場所とは。
人の怖さを感じるとともに、一方でなんだかスッとする気持ちにもなりました。
〇ミモザ ★★★★★
サイン会で昔の不倫相手と再会した、料理研究家。
どこか嬉しさもあったのですが、事態は意外な方向へと転がり始めます。
正直この主人公の行動には
なんでそうなるん。
と思いっぱなしでしたが。汗
でも人間の異常さ、愚かさがこれでもかと描かれていて恐ろしいったらない。
ラストは震撼です。
そして、これを本書の最後に持ってくるセンス!
〇タイトルについて
最後まで読むと、タイトル『汚れた手をそこで拭かない』の秀逸さに驚きます。
私は個人的に、芦沢央さん作品ってタイトルの付け方がとても上手くてすごく引きがあると思っているのですが
(初めて手に取った作品は『火のないところに煙は』。 タイトルに惹かれたからでした)
本書のタイトルのだいぶ引きが強い。
「汚れた手」
5つの短編。5人の主人公はこれをどこでどうしたら良かったのか。
と考えずにはいられない。
私は何事も黙っていられないタイプなので、
何かやってしまったらすぐに白状(相談)してラクになってしまいたい。
一人で抱えてなんとかしようなんて無理。
その方がパニック。汗
だから「汚れた手」を拭くだけでは落ち着かなくて、絶対すぐに洗い流したい。
と思うんやけど、そういう問題ではないんかな。汗
【個人的 五つ星評価】
日常の地続きにある恐怖度 MAX
タイトルの秀逸度 MAX
ラストが忘れられない度 MAX
価格:770円 |
新品価格 |
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