はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【湊かなえ 往復書簡 概要】
小学校時代の恩師からの依頼で、彼女のかつての教え子6人に会いに行くこととなった敦史。
その6人と恩師は、20年前の「とある事故」の関係者だった。
それぞれとのやり取りを手紙で報告する敦史。
20年前、それぞれが見たものとは・・・(『二十年後の宿題』)。
全部で4編からなる短編集。
過去に起こった「事件」について、書簡方式で真相が明かされていく。
【ネタバレなし 感想と考察】
〇湊かなえさんらしさ
本書は、内容や終わり方もとても面白く、興味深かったです。
『十年後の卒業文集』においては
人の記憶というのはたくさんの情報で成り立っているんだなと感じました。
人と話したり、想像してみたり、思い出したりする中で、少しずつ変わっていくものなのかもしれません。
このお話では、登場人物それぞれの真実や思いが上手く張り巡らされていて、立ち位置が変わるとそれががらりと変わりうる。
こういう書き方、表現の仕方は湊かなえさん「らしさ」ですね。
これ、湊かなえさんの小説を読むといつも感じることです。
「本当のこと」っていったいなんなんだろうか。
一緒に同じ経験をしたり、心から腹を割って話したとしても、それでもお互いにとっての真実が同じとは限らないんだろうな。
また、時が経てばそれも変わってしまんだろうか。
と、そんなことを考えました。
〇書簡というテーマ。
たくさんの人を介すること、それぞれの見たもの、感じたことを集めて「過去のとある事故」の真実がわかってくる『二十年後の宿題』
このお話が一番読み応えがあり、続きが気になりました。
そして『十五年後の補習』では、思い合う男女のやり取りの中で、2人の過去が明らかになっていき
最後の『一年後の連絡網』は、このお話のその後になっています。
書簡という形で物語を進めるというのは私にとって斬新で、とても面白かったです。
手紙というのは、
何に書こうか
何を伝えようか
どう書こうか
と考えるところから始まりますよね。
一文字一文字、書くのにも時間がかかります。
そして相手に届くまで、返事が来るまでのタイムラグがある。
改めて考えると、なんとも古風で素敵な手段ではないですか・・・!
メール・電話って簡単で便利です。
特にメールなんて本当に気軽に打てるし、なんなら深く考えずに送っている時もあるかもしれません。
(決してテキトーという意味ではなく!汗)
スタンプで終わらせる時もあったりして・・・
それはそれですごく便利で楽しいものですし、もちろん否定するわけではないけれど
手紙の良さも、忘れないでいたいなと思いました。
〇各章について
そして、本書は全部で4編。
中でも私のお気に入りは『二十年後の宿題』。
各章の私的評価は以下の通りです。
十年後の卒業文集 ★★★★☆
二十年後の宿題 ★★★★★
十五年後の補習 ★★★★☆
一年後の連絡網 ★★★★☆
【個人的 五つ星評価】
湊かなえさん作品の中でのイヤミス度 ★★☆☆☆
手紙の良さを再認識する度 ★★★★★
湊かなえさん「らしさ」度 ★★★★★
価格:737円 |
新品価格 |
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