はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【宮部みゆき 人質カノン 概要】
終電帰りに立ち寄ったコンビニで遭遇した拳銃強盗は、赤ちゃんのオモチャであるガラガラを落として去って行った(表題作「人質カノン」)
たまたま出会った中年女性が語り始めた殺人計画(「十年計画」)
を含めた、全部で7編からなる短編集。
【ネタバレなし 感想と考察】
〇世の中の理不尽さと温かさ
いじめ、失恋、世の中の暗黙の了解、生きる意味
世の中の理不尽さ。
逃げたいけれど、眼を背けては生きていけない、抗いようのない現実。
そういったものを感じさせられた短編集です。
読んでいてしんどくなる部分もありました。
でもそれでいて、ひとつひとつがどこかホッとできたり、温かい気持ちになれる作品たち。
宮部みゆきさんは人の悪意をリアルに、容赦なく書く作家さんだと思うんですが
本書では、ひたむきに生きる人の人生を温かく見守ってくれている宮部みゆきさんを感じました。
人との関係が希薄になりがちな「今」だからこそ、余計にそれが響いたのかもしれません。
人っていいなぁ。捨てたもんじゃないなぁ。
と思えたことが温かった。
ということで、今回はひとつひとつの短編について個人的五つ星評価と共に書いていきますね。
〇人質カノン ★★★★★
夜中に立ち寄ったコンビニで、拳銃強盗に出くわした逸子。
その犯人は、赤ちゃんが使うオモチャのガラガラを落としていきました。
舞台がコンビニであることがとても重要であるこのお話。
寂しいような、でも少し温かい気持ちになりました。
〇十年計画 ★★★★★
とある人物を殺してやりたい。
その目的のために生きてきた女性。
女性はその過去を、たまたま出会った「わたし」に語り始めました。
選んだ過去・選ばなかった過去があって今がある。
それがじんわり来るとともに、その女性が何者かがわかった時には少しホッとしました。
〇過去のない手帳 ★★★☆☆
大学の最寄り駅に降りることができなくなり、大学に通えなくなってしまった和也。
彼は家族にそれを打ち明けることができず、秘かにバイトにいそしむ日々を送っていました。
そんな中、電車の中で手帳を拾うのですが・・・
その手帳にはアドレスが一件書かれているだけでした。
自分を変えたくてもその一歩が踏み出せなかった和也が取った行動とは・・・。
静かにもがく苦しさには、胸が痛くなりました。
〇八月の雪 ★★★★★
いじめが原因で大きな事故にあった充は、生きていく意味が分からなくなり、前に進むことができずにいました。
そんな時、一緒に暮らしていた祖父が亡くなります。
充はちょっとしたきっかけでその祖父の若かりし頃の真実に触れるのでした。
本書の中で一番、世の中の理不尽さを感じ、また心が揺さぶられたお話です。
〇過ぎたこと ★★★★☆
男性は、電車の中で見覚えのある顔を見かけました。
記憶を辿ってみた結果、それは彼が以前仕事で携わった人物だということに思い至ります。
彼の知る、その人物の「昔の姿」と「今の姿」。
そして彼の思いが温かく、じんわりと来ます。
〇生者の特権 ★★★★★
彼との未来を疑うことなどなかった明子に、彼は容赦なく別れを告げました。
その理由、そしてその別れで明子が失ったもの。
その衝撃に耐えられず、明子は飛び降り自殺を計画します。
彼に思い知らせてやりたい。
その一心で。
ですが明子はひとりの少年に出会い・・・
とてもインパクトがあり、一度読んだら忘れられないであろう作品です。
生きていく意味、生きている温かさを考えてしまいました。
〇漏れる心 ★★★★☆
マンションを売ることを決意し、いよいよオープンルーム当日。
という日だったのに。
和子がその朝に見た光景は、無残にも上からの漏水により水浸しになった我が家でした。
うわぁ・・・
もう、この時点で
うわぁ・・・(汗ダラダラ)
です。
オープンルームは急いで取りやめ、漏水の原因を探ってもらい、早急に修理を頼んだのですが・・・
その裏にある真実、そして結末には驚きの連続でした。
【個人的 五つ星評価】
その理不尽さに腹が立つ度 MAX
でも、人っていいなぁ。度 MAX
宮部みゆきさんの温かいまなざしを感じる度 MAX
価格:715円 |
新品価格 |
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