ネタバレなし 宮部みゆき 鳩笛草

宮部みゆき

はじめまして、かがやくさくらです。

このブログでは

すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、

あらすじはできるだけ最小限に、

感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。

完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪

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【宮部みゆき 鳩笛草 概要】

  

亡くなった両親が残したビデオを発見した智子は、自分にはかつて特殊な能力があったことを知ってしまう(「朽ちてゆくまで」)。

私は装填された銃。念じただけで火を起こすことができるというチカラを持つ淳子は、妹を亡くした男に報復の協力を申し出た(「燔祭(はんさい)」)。

人の心や残留思念が読める刑事・貴子は、その能力をめぐる試練に直面し、自身の刑事としての資質に疑問を抱いていくのだが・・・(表題作「鳩笛草」)。

超能力を持つ女性たちの物語。

【ネタバレなし 感想と考察】

〇テーマは超能力

本書では「自分の能力に気付いてしまった女性」「自分のチカラをなんとか人のために使えないかと思い詰めている女性」「コントロールし共存してきたその能力を失うことを恐れる女性」が描かれています。

この3人の女性たちのが持っているのは、まぎれもなく「超能力」です。

そしてそれが故の苦悩等が書かれているんですね。

ですが、ここまで超常的なものではないにしても、例えばスポーツ選手であったり、それこそ作家さんであったり

こちらからすると「ものすごい能力」だと感じる方々は世の中にたくさんいます。

巻末の解説で引用されている宮部みゆきさんのお話を読むと、ご自身も

いつか書けなくなること

を思うこともあるんだと初めて気付かされました。

だからこそ、こういうお話が書けるのかなと。

そこに思いを馳せると、またじんわりと沁みてくるものがあるお話たちです。

ということで、今回はひとつひとつ、個人的五つ星評価と共に書いていきますね。

〇朽ちていくまで ★★★★☆

両親を亡くした智子は、その両親が残していたビデオを発見し、自分にはかつて特殊な能力があったことを知ってしまいます。

本書は1995年に単行本として出版されたものということで、もちろんまだ携帯もスマホも存在しません。

パソコンもまだまだ一般的なものではなかった頃なので、智子が知りたいこと・調べたいことも、なかなか今のように知ることはできないんですね。

「今」に慣れてしまっているとこれがもどかしいんですが、逆にそれが智子の苦悩を際立たせていて読み応えがありました。

 

〇燔祭(はんさい) ★★★★★

このお話は後に出版される「クロスファイア」の前日譚。

念じただけで火を起こすことができるというチカラを持つ淳子は、妹を亡くした男に報復の協力を申し出ます。

ところどころ、

やりすぎやろ。汗

と思うところはあるんですが、淳子の生き辛さや気持ちには感情移入してしまいます。

そんな淳子も、

また男性が妹を思う気持ちやそのエピソード・心の流れも、

美しくて悲しかったお話です。

もっと読みたいと思ったので、続編「クロスファイア」があるのは嬉しいところ。

〇鳩笛草 ★★★★★

人の心や残留思念が読める刑事・貴子の能力は、いわゆる「サイコメトリー」能力です。

貴子はその能力をめぐる試練に直面し、自身の刑事としての資質に疑問を抱いていくんですね。

例えば私なんかは、超能力はもちろん先に書いたような「ものすごい能力」だってないんですが、

それでもアラフォーともなってくると、だんだん老いとか衰えが他人事ではなくなってくるので・・・

内容は全然違っても、その辺を重ね合わせて読んでしまいました。

貴子の苦悩には胸がキュッとなります。

ですがそれだけではなく、そこで起こる数々の事件はさすが宮部みゆきさんといったところ。

3つの中で一番長くて、一番読み応えがあり、じんわりと来たお話でした。

【個人的 五つ星評価】

題材が面白い度         MAX

宮部みゆきさんに思いを馳せる度 MAX

自身のことも考えてしまう度   MAX

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