はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【宮部みゆき チヨ子 概要】
五年前に一度使われたきりのそのウサギの着ぐるみは、あちこち古びてしまっていた。
大学生の「私」はアルバイトでそれを着たのだが、中からのぞくと周りの人々はぬいぐるみやロボットに姿を変えていた(表題作「チヨ子」)。
表題作をはじめ、超常現象をテーマにしたファンタジー、ホラー等のお話たち。
全部で五編からなる短編集です。
【ネタバレなし 感想と考察】
〇多彩な短編集
前半3つは30ページ程度、後半2つはそれぞれ50ページ程度と100ページ弱とページ数にはばらつきがあります。
宮部みゆきさんらしい温かさや希望を添えて終わるお話もあれば、
ちょっとこれは救いがないんではないか
と思ってしまうお話まで、様々です。
そして巻き起こる超常現象も様々。
とても多彩な短編集となっています。
今回はひとつひとつの短編について、個人的五つ星評価とともに書いていきますね。
〇雪娘 ★★★★☆
小学校時代からの友人4人で集まろうということになった主人公たち。
ですがこの4人には当時、他にももう1人友人がいました。
その友人の名は「ユキコ」。
ユキコは20年前、12歳の時に大雪の中で亡くなっていたのですが、犯人はまだ捕まっていません。
そんなユキコに思いを馳せ、集まった4人に起こった出来事とは・・・
このお話は切なくて怖くて、また驚きもあり
さぁ宮部みゆきさんの短編集が始まりました~!
と、テンションが上がったお話です。
〇オモチャ★★★★★
その昔ながらのオモチャ屋さんには、夜になると首吊りのロープが下がるという。
巷では、先日亡くなったオモチャ屋のおばあさんはおじいさんに殺されたのだという噂が駆け巡っていました。
配慮のない好奇心、無責任な正義感等、人の醜いところが容赦なく書かれています。
人の内面が書かれているお話が好きな私ですが、これはちょっとしんどかった・・・。
そして、一番感情が揺さぶられた作品です。
〇チヨ子 ★★★★★
表題作。
ある着ぐるみを着て中から覗くと、周りの人々がぬいぐるみやロボットなどに見えてしまいます。
そのからくりがわかった時には、私も主人公同様ほっこりとしました。
この着ぐるみの中から見たら私はどんな風に見えるのかなと想像してみたりして。
ただあったかいだけのファンタジーだけで終わらせないところはやっぱり宮部みゆきさん。
全体的に重いお話が多い本書の中で、癒しと温かさをくれる作品です。
私は一番好きでした。
〇いしまくら ★★★★★
近隣の公演で女子高生の遺体が発見された。
犯人は逮捕されたものの、被害者である女子高生の嫌な噂は止むことはなく・・・
このお話には、同じ宮部みゆきさんの『模倣犯』を思い出させる箇所、考え方がありました。
『模倣犯』はこの「いしまくら」より後に書かれたものなので、よりその考えが熟成されているのかなと感じます。
私はこの考えには賛同派なので、『模倣犯』の時と同様今回もこの辺りは心にずしんと来るものがありました。
そして、意外な形でこの事件に関わることになった主人公とその娘のやり取りがとても微笑ましくて・・・!
読んでいる途中は怖かったけど、この終わり方、私は好きです。
〇聖痕 ★★★☆☆
母とその内縁の夫を殺害してしまった14歳の少年。
しかし彼は罪を認め償い、懸命に自分の人生を生きていこうとしていました。
ですが彼の知らない場所で、ネットの世界で彼は神格化されてしまい・・・
その波は大きくなり次第に過激化して行ってしまうのでした。
このお話は本当に怖かった。
ネットの世界の怖さ、それはただ単に「小説の中だけの話」だとは思えなくて・・・
本書の中では最長の短編であるにもかかわらず、読む手が止まりませんでした。
が。
私はこの方向ではなく、違った角度での落としどころが見たかったかな。
【個人的 五つ星評価】
多彩な短編が楽しめる度 MAX
ひとつの短編の中で
たくさんの感情が感じられる度 MAX
宮部みゆきさんらしさを感じる度 MAX
価格:523円 |
新品価格 |
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