ネタバレなし 宮部みゆき ペテロの葬列(杉村三郎シリーズ)

宮部みゆき

はじめまして、かがやくさくらです。

このブログでは

すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、

あらすじはできるだけ最小限に、

感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。

完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪

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【宮部みゆき ペテロの葬列 あらすじ】

丁寧な口調の老人が企てた、バスジャック事件の被害者となった杉村三郎

警察の介入もあり解決したと思われたそのバスジャック事件は、人間の心、社会自体への大きな闇へと繋がっていた。

老人の正体とは。

そして、彼にバスジャック事件を起こさせた理由とはいったい何だったのか。

杉村三郎シリーズ第三弾。

【ネタバレなし 感想と考察】

〇杉村三郎シリーズ第三弾。今回のテーマ。

第一弾『誰か』第二弾『名もなき毒』では、

誰もが当たり前だと思っている日常の中にひっそりと潜む悪意が書かれていたように思うのですが

今回はそれらよりもより、テーマが壮大。

バスジャック事件を起こした老人の背後にあったのは

かつてとても多くの被害者、そして甚大な被害を生んだという「ある事件」でした。

ここには世の中に潜む悪・とんでもなく恐ろしい悪意が書かれていて

こういうことを書ききってくれるところがさすが宮部みゆきさんだなと思います。

〇人と人との関わりについて

また、バスジャック事件の被害者たちやその周りの人々の心理模写もそれぞれ秀逸で、無理がない。

キャラや思考の流れもスルッとこちらの心に入り込んでくるんですね。

人には誰にでも悪意があって、それは簡単に伝染する

感情で言えばそんなこと受け入れたくないけど、

誰でも置かれた状況、立場によってはいくらでも変わり得るんですよね。

それはすごーくよくわかりました。

それでも、世の中には逆のこともたくさんあって

人には誰にでも優しさがあって、それも簡単に伝染する

という方が大部分を占めるかもしれない。

そうあってほしいし、実際そうなんじゃないかと思う私は甘いんでしょうか。

〇それでも杉村三郎がいる

正直、テーマがテーマなだけに内容は重くて濃くて、読み進めるのも理解するのも一苦労な部分もありました。

人の内面を描いた小説が好きな私ですが、それでもこうも人の闇を突きつけられると

ちょっと待って。汗

一旦落ち着かせて。(しんどい)

と思ってしまったりして。

やっぱり宮部みゆきさんは容赦がないですね。

ですがそれも、杉村

厳しい一面も持ち合わせているけれど、基本穏やかで人の気持ちを思いやることができる

という人柄によって、どんどん読ませてくれるんです。

これはシリーズを通して救われる、癒される、大きな大きなポイントです。

〇しないけど、ネタバレしたくなるほどの衝撃。

そして本書では、杉村個人にも衝撃的な出来事が起こります。

これは本当に打撃レベル。

ビックリします。

この展開については、初読の時はあまりにも唐突な印象を受けましたが、

再読するとそこにいたるまでの伏線がいかにさりげなく、そして確実に書かれているかがわかるんですね。

でも

めちゃくちゃ打ちのめされてしまいました・・・。

そしてどうにもこうにも釈然としない。

これ、めっちゃ書きたい。

「ネタバレになってしまっても書きたい衝動」が、こんなにも強いのは初めてかもしれないです・・・!

この打撃レベルの結果、シリーズが次作以降どうなるのかを自然に予想してしまったのですが

こういう想像を膨らませるのもまた楽しみの一つ。

もちろんシリーズ作品はそれぞれ単体でも十分楽しめますが、

本書を最大限楽しむためには、できれば第一弾『誰か』から順番に読まれることをおすすめします。

【個人的 五つ星評価】

人の優しさも信じたくなる度   MAX

ネタバレしてでも書きたかった度 MAX

シリーズの中でのおすすめ度   ★★★★☆

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