ネタバレなし 宮部みゆき 模倣犯

宮部みゆき

はじめまして、かがやくさくらです。

このブログでは

すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、

あらすじはできるだけ最小限に、

感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。

完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪

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【宮部みゆき 模倣犯 あらすじ】

墨田区・大川公園で若い女性の右腕とハンドバッグが発見された。

犯人はテレビ局に電話をし、自らの犯行を告白。

その挑発的な態度に日本中が騒然となる。

右腕の第一発見者となった少年孫娘を殺された老人はその犯人にどう挑むのか。

日本中が翻弄される中、やがて事態は急転直下し意外な展開を見せ・・・

前代未聞の劇場型犯罪、真犯人はいったいどういう人物なのか。

【ネタバレなし 感想と考察】

〇人の人生について

宮部みゆきさんはとても丁寧に、登場人物とそのエピソード・思いを書かれています。

本書は文庫本で5冊・計2500ページを超える大作ですが、それ故に登場人物も多く

いろんな面から立体的に、それはそれは複雑に絡み合った大きな世界を見せてくれます。

でもこれが人が生きるということで、人が生きる世界なんだなと感じるんですね。

例えばニュースで「被害者」として伝えられる人。

語られることのない関係者

ニュースを見ただけではなかなかそこまで想像しにくい、被害者の遺族

そんな人たちにも今までの人生があって、いろんな感情や思い出を抱えて生きていること。

またそれぞれに大切に思う人がいて、人と繋がり、日々を生きている「ひとりの人間」であることを改めて感じさせられました。

〇犯人について

本書は三部構成になっていて

第一部は事件発覚から「ある地点」までを、被害者・警察、その他関係者視点から描いたもの

第二部はそれらを犯人視点から描いたもの

第三部「ある地点」以降を再び被害者・警察、その他関係者視点から描いたもの

となっています。

中でも私は、犯人視点の第二部が一番しんどかったです。

犯人のやったことは、残酷です。

あり得ないほどに酷く、むごいことです。

それはもう恐怖で、最初に読んだ時なんかは得に、家族が外出することも怖くなったほどでした。

ですが犯人は頭がいいように見えてとても稚拙な部分もあり、

なぜそれで大丈夫だと思うのかと疑問に思うところも出てきたりして。

でも本人は自信満々で人を何だと思っているのかという態度を取る。

犯した罪は言わずもがなですが、なんとかそれを差し引いてみても

人としては軽蔑の対象でしかありませんでした。

ですが宮部みゆきさんはこの犯人を筆頭に、どうしようもない悪意・どうしようもない人間を容赦なく書いてきます。

もちろんそんな人たちにも人生があり事情があり、

それもわかるんですが

こちらから見るとそんなことはもはやどうでもいいと思えるほどに、容赦のない悪意・自分本位な人間に

腹立たしさを超え絶望すら感じるんです。

しんどい。

でも読むのは止められない。

すごいです。

〇力強さと癒しの存在

そんな中で、

一連の事件発覚の発端となった右腕の第一発見者であり、自身もとんでもない犯罪の被害者である高校生・塚田真一

被害者・古川鞠子の祖父であり、犯人に利用され振り回されてしまう有馬義男

この二人がとても好きでした。

特に有馬義男は、「祖父」ではなく「おじいちゃん」と表記したいほどに、温かい強さと賢さを併せ持った人物です。

鞠子がどんなに愛されてきたか。

どれほど鞠子を大切に思ってきたか。

そんな「おじいちゃん」の思いが痛いほどに伝わってきて、鞠子が羨ましくも思えて

まただからこそ、むごい現実がさらにはっきりと感じられてしまう。

終盤、そんな有馬義男塚田真一にかけた数々の言葉。

二人の心のやり取り。

それには涙が出ましたし、あぁこんなおじいちゃんいいなぁ、こんな年長者がそばにいてくれるっていいなぁと思わずにはいられませんでした。

〇自分勝手な思いかもしれない

それでも、もし犯人が妥当な裁かれ方をしたところで、もう元には戻れないんですよね。

真の解決なんてないんではないかと勝手に想像してしまって、やはりこんな犯人には憎しみしか沸きません。

現実世界で第三者として凄惨なニュース等を見た場合、事件自体には気の毒だと思いを寄せたり腹を立てたりもしますよね。

ですが「犯人が捕まった」という情報を得たら、もう終わったんだと安心してしまうんですよ。

これは仕方のないことだとは思うんですが

違う角度から見れば、常の自分は知らず知らずのうちにとても薄情なことをしているのかもしれないなと、ふと考えてしまいました。

【個人的 五つ星評価】

一連の事件の衝撃度      MAX

犯人が腹立たしい度      MAX

何とか希望を見出したくなる度 MAX

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