はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【今邑彩 鬼 概要】
引きこもりになっていた息子が、突然元気になった。
息子をいじめていた首謀者が転校することになったというのだが・・・(「カラス、なぜ鳴く」)。
7歳の頃。夏休みのある日、かくれんぼの鬼になったみっちゃんは、いつまでたっても姿を現さなかった。
そして古井戸から見つかったのは・・・(「鬼」)。
日常に潜む不安、胸騒ぎや恐怖を描いた、全部で10編からなる短編集。
【ネタバレなし 感想と考察】
今までにも『よもつひらさか』『人影花』等のブログでも書いてきましたが、
本書でもやはり、今邑彩さんの書く文章と言えば
独特の恐怖感
湿度のある文章
この特徴は、長編よりも短編の方がより顕著にみられるんですね。
「世にも奇妙な物語」が好きな方にはおすすめの作家さん・おすすめの短編集です。
今回はひとつひとつの短編について、個人的五つ星評価とともに書いていきますね。
〇 カラス、なぜ鳴く ★★★★★
家族内で父だけが知らなかった、息子が学校でいじめにあっていたお話です。
物語は父の目の前でなされる母と息子のやり取りと、父の想像で進んでいきます。
このいじめの詳細がまたものすごく気分の悪いものなんですね~。
同じ母として、ラストが胸に来る、とても印象に残る作品です。
〇たつまさんがころした ★★★★☆
こちらは姉妹のお話です。
妹は昔から、自分にだけ聞こえる「お告げ」を信じ切っているのですが・・・
これがまた、なんともじめっとした関係の姉妹で。
2人の心理戦のようなやりとりが面白かったです。
含みを持たせたラストも面白い。
〇シクラメン ★★★★☆
とある家の出窓に飾られているシクラメンの色が日によって違う
それに気づいたのは娘でした。
娘はその理由を面白おかしく推理するのですが、それには本当に何かしらの理由・秘密があったのか。
短い中にきっちりと凝縮されたサスペンスにゾッとします。
〇鬼 ★★★★★
表題作であるこちらは、とにかくものすごく怖かったです。
年月を超えてひたひたと迫りくる恐怖。
夜中に一人で読むのは無理でした。汗
一見ホラーのように思いますが、話は意外な方向へと向かって行き・・・
切なくもあり、不思議な感覚になるお話です。
〇黒髪 ★★★☆☆
亡くなった先妻の遺髪のお話です。
人の念ってこんなものなのかと思うと、
これは恐怖というよりも、私にはただ不気味で理解しがたいものでした。
ラストもゾワッとします。
〇悪夢 ★★★★★
子供を殺す夢を繰り返し見てしまい、出産が怖くなってしまった妊婦。
カウンセリングを受けた彼女がたどり着いた「その原因」とは。
この「真実」は衝撃的ですが、それだけではない、前述の「カラス、なぜ鳴く」と同じ種類の余韻を残してくれました。
〇メイ先生の薔薇 ★★★☆☆
5年3組全員が慕っていたメイ先生は、結婚し外国に行くことになりました。
それから20年。
そのクラスメイトだった一人が、当時の真実をバーで語り始めます。
語られたお話がすべて真実なのかどうか。
そこは定かではありませんが
子供ってこんなにも想像力がなく残酷なものかなと、そこは少し疑問でした。
〇セイレーン ★★★☆☆
年末、彼女と温泉旅行に行くはずだった男。
彼は道中の些細な喧嘩をきっかけに、車を運転していた彼女に山の中で放り出されてしまいます。
幸い彼は別の車に助けてもらえたのですが・・・
これは、新たな試練の幕開けでした。
〇蒸発 ★★★★★
父と大げんかをした息子。
次の日起きると、両親・祖父が忽然と姿を消していました。
このお話は「ドラえもん」のとある道具を思い出しましたね。
どちらも怖いお話ですが、今邑彩さんはこちらをブラックコメディとして書かれたようです。
〇湖畔の家 ★★★☆☆
過去の映像が現座に重なって見えるお話です。
ミステリーの要素もあり、ファンタジーの要素もあり・・・
最後にとある「謎」が解けるのですが、これは私には正直よくわかりませんでした。
【個人的 五つ星評価】
お話のバリエーション度 ★★★★★
ゾクゾク度 ★★★★★
今邑彩さん短編集でのお気に入り度 ★★★★★
価格:682円 |
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