はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
東野圭吾 人魚の眠る家 あらすじ
「娘の小学校受験が終わったら離婚する」
と決めていた播磨和昌・薫子夫妻。
しかし、その娘・瑞穂がプールで溺れるという事故に合い、意識不明になってしまいます。
娘は『脳死』なのか。
それは、脳死判定を受けなければわかりません。
しかし、たとえ脳死判定を受ければ『脳死』と判断される状況だったとしても、それを受けなければ『脳死』とはならないのです。
その脳死判定を受けるかどうかを決めるのは、医師ではなく家族。
娘は死んでいるのか。患者なのか。
ネタバレなし 感想と考察
本書を読むことで、知らなかったことをたくさん知ることができました。
それは大きく分けて二点。
①脳死の定義について
②海外での移植について
この二つにおいては特に知らないことだらけで、考えさせられました。
また、私にも娘がいるので、薫子や和昌に感情移入してしまうところも多々あり、読み進めるのが辛い部分もありました。
今までのブログでも話してきましたが、東野圭吾さんの作品には、何度読み直しても涙なしには読めない作品が多数あります。
本書もそれにあたる作品です。
そうとは知らず、初めて読んだ時は電車の中で涙を堪えることになり大変でした汗
以降は必ず自宅で読んでいます。
〇脳死の定義ついて
まず一番強く思ったことですが、
『脳死』
の定義というのはこんなにも曖昧なものなのかということでした。
詳しく書いてしまうとネタバレになってしまうので割愛しますが、
「脳死の定義」にはあまりにも多くの矛盾があります。
そして「脳死判定」を受けるかどうか。
これは親族が決定しなければいけない。
そのような曖昧で矛盾の多い定義をもとに、この判断を親族にさせるのは、あまりに酷ではないかと思いました。
「脳死の定義」はこのままでいいのでしょうか。
確かに「人の死」というのは触れにくい問題だと思います。
それでも、権利をもってして何かを決定するのであれば、自分たちに都合のいい部分だけではなく、目を背けたい部分にも決定をくだす義務があるのではないでしょうか。
それが責任だと思うのですが、これは難しいことなんですかね…。
これでは、思い悩んだり苦しんだりする人々が増えるだけで、決して減ることはないです。
自分がその立場に立つことを想像しただけで苦しいのに…
これは決して他人事ではないと思うのです。
〇海外での移植について
お子さんの海外での移植を希望し、そのために募金活動をされている方々をテレビ等で見たことがあります。
海外での移植手術にはなぜ莫大な費用が必要なのか。
これも本書で詳しく書かれていますが
ここにもまた、多くの矛盾と疑問が存在するのです。
ここで、日本の「脳死の定義」が重要になってくるのだと感じました。
これからも親族に委ねるというスタンスは変わらないのでしょうか。
何をもって「死」とするのか
この問いは、問いのまま放置していてはいけないのではないかと、私は思います。
〇薫子・和昌夫妻について
瑞穂の母・薫子はとても芯の強い女性です。
それ故にとても感心させられる部分、またとても共感できる部分も多々ありました。
そして逆に、どう考えても理解できない部分や、反発さえ覚える部分もありました。
ですが、これは私が第三者の視点から見ているから思ったことなのかもしれません。
もしも私が同じ立場になり、同じような環境にあれば…
「絶対に薫子と同じことはしない」とは、とても言い切れないだろうと思うから。
最初に読んだ時よりも今回の方が、薫子の苦悩と親としての在り方、まっすぐな気持ちがより分かったような気がしました。
一方父・和昌の思いは、特に終盤詳しく書かれています。
私はここにものすごく共感してしまい、胸が痛くなるほどでした。
父・母。
形や表し方はそれぞれ違うけれど、それぞれの深い愛情が書かれているなと思います。
〇物語の最後
ここはやっぱり東野圭吾さんですね~。
ものすごく考えさせられた作品ですが、最後はとても温かい気持ちで読み終わることができました。
個人的 五つ星評価
外で読めない度 MAX
勉強になる度 ★★★★★
親としての感情移入度 MAX
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