はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【東野圭吾 白夜行 あらすじ】
愛したことが「罪」なのか。愛されたことが「罪」なのか。
1973年、大阪の廃ビルで一人の男が殺害された。
被害者は質屋を経営しており、容疑者は浮かび上がってくるのだが、結局事件は迷宮入りしてしまう。
被害者の息子・桐原亮司。
「容疑者」の娘・西本雪穂。
影を持つ少年と並外れた美しさを持った少女はその後、まったく別の道を歩んでいくのだが・・・
ふたりの周囲にはいつも、数々の恐るべき犯罪が見え隠れしていた。
だが「証拠」は全くない。
そして月日は流れ、19年後に見えた景色とは。
【ネタバレなし 感想と考察】
〇東野圭吾さん最高傑作
言わずと知れた東野圭吾さんの代表作。
私は本書を東野圭吾さんの最高傑作だと思っています。
文庫本で800ページと長めであり、分厚さも重さもあるので読み始めるには覚悟がいるかもしれませんが、夢中になって読めてしまいます。
伏線の張り方が壮大で見事。
なんなら全体が伏線なのでは、と思うほどの勢いです。
それらは読み進めてすぐに解明されるわけではありませんし、ところどころで回収される際もさらっと、不必要に長く説明されるわけではなく本当にサラッと回収されていくので、そういうところも余計に引き付けられます。
そして終盤に明かされる、とんでもない真実。
その明かされ方にも感服です。
今までのブログにも書いてきましたが、私、東野圭吾さんってカードを切るタイミングが最高にうまい作家さんだと思っているんですね~。
もう何度読んだかわからないくらいの作品なのに、流れも伏線も完璧に覚えているのに、
それでも、何度読み返しても大きく心が揺さぶられてしまう、読了後はしばらく余韻のを残す作品です。
〇亮司と雪穂
最初の事件が起ったのは1973年。
まだ小学生だった桐原亮司の父親が殺害され、同じくまだ小学生だった西本雪穂の母が容疑者となりました。
結局事件は迷宮入りしてしまい、その後亮司と雪穂はまったく別の人生を歩み続けます。
ですがふたりの周りではいつも何らかの犯罪が見え隠れしている。
なのに、なんの「証拠」もない。
本書では、亮司と雪穂の直接の関わりは何も書かれていません。
それどころか、ふたりの心理模写も一切ない。
ふたりの目線で書かれる文章はひとつもないんです。
物語はすべて、ふたりの周囲にいる人々の目線で語られていくんですね。
なのでふたりの存在が無機質なものに感じられるところもあるのですが・・・
それが逆に、本書の世界観をより高めているように思います。
〇映像化された「白夜行」
本書は森下佳子さん脚本で連ドラ化もされています。
そして亮司を山田孝之さん、雪穂を綾瀬はるかさんが演じました。
こちらは原作とは違いすべてふたり目線で描かれており、ふたりの心情、関係がしっかりと見えるので、原作とはまた違った魅力が満載。
私はこちらも大好きで、特にふたりの関係を追い続ける笹垣を演じた武田鉄矢さんがサイコーすぎて、
何度も何度も見返しています。
原作とドラマには全然違った魅力があるので、どちらも堪能されることをおすすめします。
〇時代背景があるから
話は原作のお話に戻ります。
本書は1973年に起こった事件から始まり、そこから19年の歳月が描かれています。
その年月の長さもあり、登場人物はたくさん出てきますが、亮司と雪穂の成長過程と共に進んでいくので、よくありがちな
これ誰やったっけ・・・汗
というような混乱はありませんでした。
また「オイルショック」「映画『ロッキー』」「スーパーマリオ」等々
実際に起こった出来事が上手く絡められているので、登場人物たちの言動により説得力があり、時代背景が捉えやすかったりします。
そしてなんといっても、終盤に明かされる真実、回収される伏線は、実際に起こった「とある事件」と絡めることにより
より一層とんでもない衝撃を与えてくるんですね。
東野圭吾さんは意図的にそう書かれているのだと思いますが、ただ「現実とリンクしている」というだけでは終わらないこの筆力には、何度読んでも圧倒されます。
〇タイトルの意味
「白夜行」の意味。
それは読み進めていく中で明らかになります。
これがもう悲しいわ切ないわで・・・
もっとどうにかならんかったんか。涙
と、毎回毎回心から思ってしまうんですよね。
こう生きることしかできなかったふたりを思うと、また更に哀しい。
そして最後の雪穂の言葉には、言葉通りではないたくさんのものを感じます。
だからこそ余韻がものすごい。そして長い。
やっぱり間違いなく東野圭吾さんの最高傑作かと、個人的には思います。
そして私にとって「桐原亮司」「雪穂」という響きは、ずっと特別なものです。
【個人的 五つ星評価】
東野圭吾さんの最高傑作度 MAX
伏線、時代背景がお見事度 MAX
余韻がものすごい度 MAX
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