はじめまして、かがやくさくらです。
このブログでは
すでにその本を読んだ方はもちろん、まだその本を読んでいない方・読もうかどうか考え中の方などにも楽しんでいただきたいので、
あらすじはできるだけ最小限に、
感想においてはネタバレを避け、心が動いたポイントやおすすめの点などを上げていこうと思っています。
完全に私的な感想になると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです♪
【辻村深月 きのうの影踏み 概要】
小学生時代に流行った、「嫌いな人を消せるおまじない」(「十円参り」)。
その横断歩道で事故が続く原因は、そこで亡くなった女の子の霊なのか(「七つのカップ」)。
電車内である女の子と出会った日から始まった、奇怪な現象(「スイッチ」)。
幼い我が子が繰り返す謎の言葉「だまだまマーク」とは(「だまだまマーク」)。
日常に潜み忍び寄る、違和感や恐怖を詰め込んだ、全部で13編からなる短編集。
【ネタバレなし 感想と考察】
〇短編集とも、ショートショート集とも
先ほどは「短編集」と書きましたが、本書のお話は短いものでは10ページにも満たないので
ショートショートと表現する方が適している作品もいくつかあります。
大半が20ページ程度、一番長いもので40ページ程度と、合間合間にも読みやすい作品だなと思いました。
短いページの中で、それぞれに読者を惹きつける吸引力はさすがです。
〇日常の中に潜み、迫ってくる違和感と恐怖
いわゆる「ザ・ホラー」という感じではなく、本当に普通の日常からスルッと抜け落ちてしまうような恐怖。
日本ならではの不気味さのある恐怖感という感じが満載です。
お話によっては
え。もう終わり??
的な、曖昧な終わり方をするものもあるので、そこは少し消化不良になるかもしれません。汗
ですが、全体としては「ものすごい吸引力」と「不気味な恐怖感」の印象がものすごく強いです。
中には、辻村深月さんご自身の体験なのかなと思わせられる作品もあったりします。
いつもはここで、ひとつひとつの短編について個人的五つ星評価と共に書いていくのですが
本書は全部で13編と数も多く、ショートショートも含まれているためネタバレになってしまうことも避けたいので、
中でも私のお気に入りの作品5選を、個人的五つ星評価と共に書いていきますね。
〇スイッチ ★★★★★
主人公は男性。
電車内である女の子と出会い、話をしてから、奇怪な現象が起きるようになりました。
その現象の数々、そしてそれが起こってしまった理由。
全部にゾッとする・・・
本書で一番初めにゾワッとして、
来たぁぁーーーーー
とテンションが上がった作品です。
〇だまだまマーク ★★★★★
これ、めっちゃ怖かったです。
3歳になり幼稚園に通うようになった息子が繰り返し口にするようになった言葉、「だまだまマーク」。
響きはとても可愛らしく、幼い子供が繰り返す様はとても愛らしいのですが、
その言葉が何を意味するのかは誰も知らず、他に口にする子供もいないという、まさに不可思議な状態が続いていくんですね。
母親である主人公の、この状況の受け取り方。
これは私の価値観とはまったく違ったので、ちょっと違和感がありましたが・・・
この後どうなったのか、知りたいような知りたくないような。
複雑な気持ちです。
〇ナマハゲと私 ★★★★☆
美奈子は秋田出身。
大学の「民俗学」のレポートのためナマハゲを取材したいという友人たちを連れ、美奈子は年末に帰省しました。
正直途中でラストは予想ができてしまいましたが、それでも一度読むと忘れられないお話でした。
〇噂地図 ★★★★★
噂の出所はどこだ。
それを調べるために作った「噂地図」。
それを作るには、絶対に守らなければならないルールがありました。
絶対に。
それを破ると罰が下る。
その罰とは一体何だったのか。
本書で一番長い、40ページを超えるお話です。
読み応えは抜群。
〇七つのカップ ★★★★★
その横断歩道では、今年に入って立て続けに3人が亡くなりました。
それも、すべて別々の事故で。
その場所では以前にも小学生の女の子が事故で亡くなっていて、
今年の事故はその女の子のせいだ
彼女が寂しくて呼ぶせいだ
という噂が流れました。
視点は今現在その横断歩道を通って小学校に通う女の子目線で書かれているのですが、その幼い純粋な心にも打たれますし
さらに私は同じ母親として、以前の被害者である亡くなった女の子のお母さんに感情移入してしまって・・・
このお話にはグイっと心を持っていかれました。
他12編とはテイストが違う、ラストを飾るにふさわしい作品です。
【個人的 五つ星評価】
不気味な恐怖が怖い度 MAX
合間合間に読みやすい度 MAX
最後に心を持っていかれる度 MAX
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